パーソナルトレーナーとして活動する上で、資格によって活動場所を選択したり、お客様への指導法は異なってきます。一般的なパーソナルトレーナーの養成所では「アスリートのパフォーマンスアップ系」「ダイエットなどのボディメイク系」がほとんどかと思います。そのようなニーズも高まる一方で「一生健康でいたい」「病気にかかりたくない」など高齢化が進む日本ならではのニーズも高まっています。それらを満たすべく今回は、医療従事者も受講する資格「健康運動実践指導者」をご紹介したいと思います。
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 :http://www.health-net.or.jp/shikaku/index.html
健康運動実践指導者とは?
健康運動実践指導者は、健康づくりのための運動指導者に与えられる称号のひとつで、生涯を通じた国民の健康づくりに貢献してきました。日本が直面している健康課題はさまざまで、さらに生活習慣の乱れやストレスが健康に及ぼす影響なども問題視されています。健康運動実践指導者養成講習会で学んだ知識及び指導スキルは、健康づくりのさらなる国民運動化だけでなく、子どもたちの発達段階をふまえた健康教育にも十分に生かして行けるものです。
健康運動指導士との違いは?
同じ公益財団法人が認定している称号で「健康運動指導士」という資格があります。健康運動実践指導者は、健康づくりのための運動指導者に与えられる称号のひとつで、もうひとつの資格である健康運動指導士と両輪となって生涯を通じた国民の健康づくりに貢献してきました。健康運動指導士は「個々人の身体状況に応じた運動指導」と「生活習慣病にかかる可能性のある"ハイリスク者"への指導」を行う人材として養成されています。健康運動実践指導者は新たな役割として「自ら見本を示せる実技能力」と、「集団に対する運動指導技術に長けた者」となるよう養成を行っています。
資格取得までの流れ(取得単位数、費用)
①受講申し込み
▶︎受講資格
この講習会の受講資格は、次のいずれか一つに該当している場合に与えられます。
❶体育系短期大学又は体育専修学校(2年制)若しくはこれと同等以上の学校の卒業者(卒業見込み含む)。
❷3年以上運動指導に従事した経験のある者
❸運動指導に関連する資格を有する者
例)グループエクササイズフィットネスインストラクター(GFI)、スポーツプログラマー、アスレティックトレーナー、スポーツリーダー、日本スポーツ協会認定コーチ1~4、基礎水泳指導員、NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)、レクリエーション・インストラクター、中高老年期運動指導士、高齢者体力つくり支援士、運動普及推進員、NESTA公認パーソナルフィットネストレーナー(NESTA PFT)
❹保険医療に関する資格を有する者
例)保健師、管理栄養士、看護師、准看護師、助産師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、介護福祉士、介護支援専門員、保育士、介護職員実務者研修修了者(ホームヘルパー1級)、介護職員初任者研修修了者(ホームヘルパー2級)
❺学校教育に関する資格を有する者
例)幼稚園教論、小中高等学校教員免許
②健康運動実践指導者養成講習会の受講
・受講料:124,762円(税別)※教科書代含む
講習の内容は、講義16単位、実習17単位、合計33単位(1単位90分)を3期9日間で修得します。
・第Ⅲ期の2日目に指導実技試験、3日目に認定試験(筆記試験)を実施します。
※3期を分割しての受講はできません。同一回において修了することを前提にお申込ください。
③健康運動実践指導者の登録
認定試験について(受験資格、費用、試験方法、カリキュラム)
▶︎受験資格
講習会の課程修了者
▶︎受験料
12,381円(税抜)
▶︎試験方法
健康運動実践指導者認定試験は、コンピュータを利用した試験(CBT)方式にて実施します。実施期間中であれば受験日時と試験会場を全国47都道府県にある試験会場から選択できます。試験会場は、原則として、祝日を除いて朝から夜まで開いています。ただし、 試験会場によっては、試験を実施していない日があります。
▶︎カリキュラム
①健康づくり施策概論
・健康の概念、わが国の現状と健康づくり施策
・生活習慣病とその予防、メディカルチェック
②運動生理学
・運動とエネルギー出力系
・運動と筋/神経系
・発育/発達の概論、老化の過程と機能変化
③機能解剖学とバイオメカニクス
・骨格、筋、心臓、血管、呼吸器の構造と機能
・バイオメカニクスの基礎と応用
④栄養摂取と運動
・栄養学の基礎
・食生活と運動、体重調節
⑤体力の測定と評価
・体力測定の理論
・形態及び体脂肪の測定
・体力測定の実際と評価、データ処理
⑥健康づくりと運動プログラム
・トレーニングの原則、健康増進のための運動効果、運動指針の具体例
・運動プログラムの基本的考え方、目標設定
・運動のプログラミング
⑦運動指導の心理学的基礎
・運動における行動変容
⑧健康づくり運動の実際
・ウォームアップとクールダウン
・ストレッチング
・ウォーキングとジョギング
・エアロビックダンス
・水泳/水中運動
・レジスタンスエクササイズ
⑨運動障害と予防/応急処置
・内科的障害
・救急蘇生法
・整形外科的障害
・外科的応急処置とテーピング
健康運動実践指導者の登録について
・指導実技試験と認定試験の両方に合格した方には、健康運動実践指導者の登録資格が与えられます。
・登録料:22,000円(税別)
※5年間有効で、所定の講習会を受講することにより、更新することが出来ます。
資格更新について
健康運動実践指導者は、更新時までに10単位以上(うち実習5単位以上。全部が実習でも可)を履修する必要があります。認定講習会については、5年の間であれば、いつ受講してもかまいません。認定講習会一覧の中から講習会を選定し、申込窓口に自ら申し込むことになります。
※当財団発行の月刊「健康づくり」を定期的にご購読いただき情報・知識を収集していただくことで、1年間1.2単位、5年間で6単位取得することができます。
健康運動実践指導者を受講するメリット
幅広いニーズに応えられる
近年、健康志向の広まりでフィットネスクラブなどの運動施設の需要が高まっています。実際にフィットネスクラブには「鍛えたい」「痩せたい」という人だけでなく、「いつまでも健康でいたい」「介護にかかりたくない」という理由で通う方も多くいます。また、「過去に病気を患い再発を予防したい」「主治医に運動を勧められた」という方も今後増加していくと思います。そういった幅広いニーズに応えられるように健康運動実践指導者の資格を検討すると良いでしょう。お客様の健康のために、トレーナー自身の健康のために学ぶことは非常に大切なことです。
自ら見本を示せる運動指導者
健康運動実践指導者とは「積極的な健康づくりを目的とした運動を、安全かつ効果的に実施指導できる能力を有すると認められる者」です。現場で運動を指導する者として、自らが見本を見せられるということは重要なことです。それはお客様への信頼に繋がりますし、運動経験の無い方にはわかりやすく体現することができます。体に関する知識も大切ですが、トレーナー自身が「見本」となれるよう常に準備しておきましょう。
パーソナルトレーナー養成スクールで資格を最短取得
NSCAやNESTAなどパーソナルトレーナー向けの資格を取得するには独学かスクールに通うか、2つの選択肢があります。機能解剖学や運動生理学などの基本知識があれば独学でも合格は目指せる範囲だと思いますが、基本知識に自信のない方は、スクールへ通うことをオススメします。また、スクールに通うことで、基本的な知識はもちろん、実践的な実技(トレーニング指導)を習得できたり、就職支援が受けられたり、卒業生のコミュニティができたりと資格取得以外のメリットがとても多いため、独学の人よりも何かと有利です。
個別指導であれば、最短2ヶ月で取得することもできます。最近では多くのスクールがあり選定が難しいため、ここでは厳選したオススメのスクールを幾つかご紹介します。個別指導なのか集団授業なのか、オンラインに対応しているのか、講師はどんな人なのかなどご自身に合ったスクールを探して、まずは資料請求をしてみてはいかがでしょうか
健康運動指導士の資格についてまとめてみた