パーソナルトレーナーにとって、大切なことは何だと思いますか?経験年数、実績、トレーニングの知識。もちろんどれも大切なことですが、もう少し先に学んでおくべきことがいくつかあります。今回はお客様から選んでいただけるパーソナルトレーナーの特徴を5つご紹介していきます。
⑴ "清潔感"のある身なり
人は、第一印象でその人のことを判断してしまう、という傾向があります。
特に指導者の立場であるパーソナルトレーナーにとっては大切なことであり、お客様は「どんな人が教えてくれるのかな?」という不安と期待を持ってジムに来られます。その期待を、期待以上に変えるためには"清潔感"が必要不可欠で、最も気を配るべき要素であると言えます。
なぜならパーソナルトレーニングは、
- 1対1で教えてもらう。
- 自分がキレイに、健康的になるために通う。
という場所であるからです。
自分磨きのために通い、マンツーマンで教えてもらう施設で、自分自身の手入れもしない指導者に教わりたいと思いませんよね。
例えばパーソナルトレーニングの体験として、初めてのお客様が来館されました。そこで担当するのがこのようなトレーナーだとしたらいかがでしょう。
- 頭髪がボサボサ(寝癖がついている)
- 無精髭を生やしている
- ダルっとした服装をしている
- 歯に青のりがついている
- 挨拶に元気がない
またはこのようなトレーナーはどうでしょう。
- 頭髪、髭の処理がしっかりされている
- スウェットではなく、運動指導者に適した格好をしている
- 姿勢がいい
- 挨拶に笑顔と元気がある
- 健康的な肌
もしもあなたがそこのパーソナルジムの支配人だとしたら、どちらのトレーナーがお客様に選ばれると思いますか?
さらに言うならば、どちらのトレーナーを採用しますか?言うまでもなく後者のトレーナーだと思います。
もちろん人それぞれの価値観というものがありますから、自分では「バッチリ!」と思っている人もいるかもしれません。挨拶に元気がある・ないの捉え方も様々です。もし自分の身なりに不安があるようでしたら、トレーナー以外の知り合いに聞いてみてもいいでしょう。パーソナルトレーナー業界とは全く違った業種の人に、「これってトレーナーの身なりとしてどうかな?」という感じです。違った業種の意見も、実は参考になります。もし「うーん、、」という返答でしたら、お客様も同じように思うかもしれませんね。
『この人から教わりたい!』と強く思ってもらい選んでもらうためには、まずは自分自身の身なりから整えておくことがポイントになります。
また、意外と見られていて実は自分では気づきにくい箇所があります。それは、爪です。ストレッチやトレーニングのフォームの修正のときにお客様の身体に触れることがあると思います。場合によっては施術をすることもあるでしょう。その時に爪が伸びていると、お客様の身体を傷つけてしまうこともあり、見た目としても良いものではありません。
少し細かいところですが、爪の手入れも大事ですね。最初に会った時点で、相手からの好感度をグッと引き上げておきましょう!
⑵ 聞いてくれる会話
パーソナルトレーニングの前に、必ずカウンセリングをします。お客様の現在の悩み、目的、既往歴等をしっかりと聞いてからトレーニングを開始しなければいけません。このカウンセリングの時こそが、お客様の信頼を獲得し、今後継続してトレーニングを受けていただけるかどうかの鍵となります。
お客様が何のためにパーソナルトレーニングを受けにきたのか、今後どうなりたいのか、どんな事が得意でどんな事が苦手なのかを、まずはしっかりと聞いてください。知れば知るほど、お客様のことが理解できるようになり、トレーニングのメニューを作成する時の参考になるはずです。
しかし、『質問』と『尋問』は違います。何度もこちらから聞いているだけになると、お客様は詰められている印象を持ちます。それが『尋問』です。そうならないためにも、時折お客様からの回答に対して、自分の意見や主張も取り入れるようにすると良いでしょう。
『質問と主張』の割合が、2:1になるようにするのがオススメです。
例えば、
トレーナー「〇〇さんは今までにスポーツジムに通われたことはありますか?」
お客様「いえ、全くないんです。」
トレーナー「そうなのですね!何か自宅での運動習慣はありますか?」
お客様「はい、週に2〜3回くらいはウォーキングしています。」
トレーナー「そうでしたか!実は最近僕も、朝早く起きて近所をウォーキングしているんですよ。気持ちがいいですね!朝早く起きるのはなかなか辛いですが(笑)。」
いかがでしょう。ここからまたコミュニケーションが生まれそうですよね。逆に、3回連続で質問してしまうと少し尋問っぽくなってしまいます。タイミングをみて自分のことを少し取り入れた聞き方をすれば、お客様からの信頼を得られやすくなります。
パーソナルトレーナーは指導者の立場ですので、話す時につい説明口調になってしまいがちですが、
- 専門用語は最小限に抑える。
- 自分の肩書きを自慢話口調で話さない。
この2つも注意してください。
筋肉の名称やトレーニング種目などを言われても、お客様の心に響きません。『難しいトレーナーさんだな』と思われる方が多いでしょう。専門用語を一般の方にも説明できてこそ、プロのパーソナルトレーナーです。
そしてもう一つ。
これもやってしまいがちなのですが、自分が過去にどんな人を指導してきて、どんな経験をしてきたのかを説明するトレーナーもいます。これは『説明』ではなく『自慢』に聞こえてしまうケースも少なくありません。
お客様が本当に知りたいのは、
そのトレーナーがどんな指導をしてきた人なのかというよりも、そのトレーナーから指導を受ければ自分はどう変われるのか、ということです。
トレーナーである自分をアピールするために話したい気持ちもわかりますが、まずはお客様のニーズをしっかり聞き出すことに注力していきましょう。
⑶ 褒め上手
パーソナルトレーナーは『褒める』ことも仕事の一つです。トレーニングは決して楽なものではないので、お客様に最後の種目まで頑張ってもらったり、モチベーションを保ってもらうためにも『褒める』ことは必要なスキルです。
しかし、ただ褒めればいいというわけでもありません。「褒めとけばいいや」という気持ちが少しでもあると、お客様にもそれが伝わってしまい、逆にモチベーションが下がってしまうケースがあります。大切なのは『褒め方』です。もう少し率直にいうと、わざとらしく褒めないことです。
例をあげて説明していきましょう。
(NG:気持ちの込もっていない褒め方ワード)
- すごいですね。
- やればできますね。
- いい感じです。
こういった単発的なワードは基本的にNGです。マイナスな言葉ではないので一見良いワードのように聞こえるのですが、単発的すぎるので『ただ言っているだけ』と捉えられてしまうかもしれません。さらにNGなのが、同じワードを連発してしまうことです。単発的なワードを連発してしまうと、『ちゃんと見てくれているのかな?』とお客様を不安にさせてしまう傾向にあります。
(GOOD:具体的な褒め方ワード)
- この前よりもしっかり〇〇できるようになっていますね!
- ちゃんと結果出てるじゃないですか!
- これからもどんどんできるようになりますよ!
このような具体的に褒めることはGOODです。過去から現在にかけての過程を褒めたり、これから自分の身体がどう変化していくのか未来をイメージさせる褒め方をすると、お客様のモチベーションは上がりやすいです。言われると単純に嬉しくなりますよね。
『褒める』ことは簡単そうに思えて実は難しいことです。指導する立場としては一番難しいことかもしれませんが、ここをクリアすることでお客様との信頼感はさらに高まっていきます。常に変化するお客様の身体に対して、正しい褒め方を身につけていきましょう。
⑷ 説得力のある体型
例えばあなたがパーソナルトレーニングを受けるお客様側だったとして、どんなパーソナルトレーナーを条件として選びますか?条件を5つ思い浮かべてください。
・・・
今思い浮かべた条件の中で、『体型』という項目は入っていたでしょうか。もしも入っていたとすれば、パーソナルトレーナーを目指す上でポイントアップです。パーソナルトレーナーは身体のプロである、という自覚をまずはしっかり持つことが重要になってきます。そしてその身体のプロが、自分自身の身体づくりを怠っていたとすれば、、、あなたはどう思いますか?
- トレーニングをしない。
- すぐに体調を崩す。
- トレーニング種目のお手本ができない。
- 痩せすぎ、または太りすぎ。
- 不摂生な食事ばかりしている。
『マッチョ専門パーソナルトレーナー』→ 自分はガリガリ。
『ダイエット専門パーソナルトレーナー』→ 自分は太っている。
こういったパーソナルトレーナーだと説得力が欠けてしまい、「本当になれるの?」という不安な気持ちが生まれてしまいます。まずは自分の得意な指導に見合った身体になりましょう。
しかしここで間違えてはいけないことは、ムキムキなマッチョになれ!と言っているわけではありません。
細い人・太い人の定義はそれぞれです。
一番大切にしてほしいことは、
指導者たるもの実践者であれ!
という言葉通り、動ける体型であることが必須だと思います。新しいトレーニング種目をお客様に教える時には、まずトレーナーが見本を見せますよね。フォームが崩れたりその種目に必要な筋力が無いと、当然お客様もできません。
自分自身が自信を持ってパーソナル指導ができるためにも、最低限の身体作りはしておきましょう。
⑸ 保有資格、指導歴
パーソナルトレーナーという職業は、医者や理学療法士とは違い、資格が無くてもできる仕事です。極端に言うと、今日からパーソナルトレーナーをすることができます。初めて会った人にあなたが「パーソナルトレーナーです!」と言うと、免許やトレーニング指導許可証などを見せなくても、仕事を受注できるというわけです。
「じゃあ今日からさっそくパーソナルトレーナーやろう!」
「今まで自分でやってきたトレーニングを教えればいいんだ!」
と思った方。ちょっと待ってください。
確かに資格が無くてもできますが、自分の身体を鍛えることと、人の身体を鍛えることは全くの別物です。優秀な選手が優秀なコーチになれるわけではないことと同じで、人に教えるということに関しては、やはり勉強しなくてはいけません。
勉強 + 信頼 = 資格
この方程式を覚えておきましょう。
資格というのは、勉強の証です。筋肉の機能、解剖学、運動生理学、栄養学など、身体に関する知識はたくさんあるに越したことはありません。人の身体に責任を持つ仕事なので、常に勉強・情報収集する習慣を身につけておきましょう。
次に信頼です。
ホームページにパーソナルトレーナーの資格を掲載した時に、お客様からはその資格の意味がわからないかもしれません。しかし、「トレーナーとしての知識がちゃんとあるんだな」と思ってもらいやすく、依頼しても大丈夫だという安心感が得られます。それこそが、信頼です。
ふとした時にお客様から、
「そういえば、何のトレーナーの資格持ってるんですか?」と聞かれた時に、「実は資格持ってないんですよ」という返答だと、お客様は困惑してしまいます。自分自身も何とくなく気まずい雰囲気になると思いませんか?もしも個人店でパーソナルジムを開業した場合、お店に認定証などがあればブランディングとしていいですよね。
そういった意味でも、やはり資格を取得しておいた方がいいでしょう。資格があった方がいいか・無くてもいいかという点では、当然あった方がいいというのが理解できたと思います。では実際にどんな資格を取得した方がいいのか、どんな種類の資格があるのかを見ていきましょう。
今回は大きく3つをご紹介します。
①【NSCA-CPT】全米エクササイズ&コンディショニング協会
②【NESTA-PFT】全米エクササイズ&スポーツトレーナー
以上の3つが、パーソナルトレーナーを目指す際にオススメする資格になります。もう少し詳しく知りたいという方は、URLよりご覧ください。また、最短でNSCAなどの資格取得を目指すなら、パーソナルトレーナー養成スクールへ通うことをオススメします。オススメのスクールをまとめてありますので気になる方はご覧ください。ページから資料請求も可能となっております。
【まとめ】
さて、お客様に選ばれる特徴を5つ見てきました。パーソナルトレーナーを目指すみなさん、今の自分に足りていない項目や、これはクリアしているなという項目を見つけることができましたか?パーソナルトレーナーという職業は大変な一方、素晴らしい仕事だと思います。人生100年時代と言われる時代になり、これからさらに健康に対する意識が高まっていくでしょう。人々の健康を守るのはパーソナルトレーナー!とまで言うと、かなり責任重大な感じがしますが、是非そんな強い想いがある方はパーソナルトレーナーの仕事がオススメです。
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。
一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。
独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。
主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。