コロナ禍で経済状況はまだまだ厳しい状態が続いています。しかしこんな状態だからこそ、自宅トレーニングで身体を動かす方は増えてきているようです。そしてパーソナルトレーニングの需要も増えてきており、個室空間で運動を丁寧に教えてもらえるという価値が以前より高まってきていると感じます。パーソナルトレーナー やインストラクターなど運動指導に携わる現場の方々も、こんな状態だからこそ自分たちが健康を届けなくてはいけないという強い気持ちが表れているのも確かです。さらに、これからはよりいっそう健康に気をつかう方も増えてくるでしょうから、予防の視点からもトレーナー という役割が大切になってくるでしょう。 今回は、これからトレーナー を目指す方々に、スポーツトレーナーの種類をご紹介したいと思います。運動を教えるのにも、得意・不得意が存在しますから、自分がどのジャンルの指導が適しているのか、是非一緒に考えていきましょう。
トレーナーにも種類がある
皆さんは、『〇〇トレーナー』と聞いて、〇〇の中にいくつ言葉を当てはめることができますでしょうか。パーソナルトレーナーとスポーツトレーナーの2種類のみが思い浮かんだ方は、これからもっともっとトレーナーとして活動できる場があると思います。そのためにも、トレーナー種類をここで一緒に確認していきましょう。一言に『トレーナー』と言っても、パーソナルトレーナーやスポーツトレーナーだけではないんです。
『トレーナー』とは、一般的にトレーニングを教える人になりますが、いろんなトレーニングの種類があれば、目的も様々です。筋肉をつけるため、ダイエットするため、痛み改善のため、などなどたくさんの目的がありますが、その目的に応じてトレーニングの種類も変えるのは当然です。全て同じメニューとはいかないように、トレーナーにも種類があります。
パーソナルトレーナー
フィジカルトレーナー
コンディショニングトレーナー
アスレティックトレーナー
メディカルトレーナー
こんなにも種類があるんです。
カタカナばかりが並びますね(笑)
簡単に一つ一つみていきましょう。
1.【パーソナルトレーナー】
こちらは皆さんが最もよく聞いたことがあるトレーナーの種類かもしれませんね。もう説明不要かもしれませんが、一対一(マンツーマン)で指導することです。ただ、以下のトレーナーでもマンツーマンで指導することがあるので、そういった意味では全員が『パーソナルトレーナー』なのかもしれません。しかし、パーソナルトレーナーというと今では『ダイエット指導』を主に行なうという認識が強くなってきていますね。一般の方を中心に、ダイエット、筋力アップ、食事管理についてオリジナルメニューを提案する仕事です。
2.【フィジカルトレーナー】
『フィジカル』とは肉体的・身体的という意味を持ちます。
・フィジカルを強くしろ!
・フィジカルが弱い!
などという言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。つまり、身体能力などパフォーマンスのことを指します。フィジカルトレーナーとは今ある身体能力を、より向上させるトレーニング指導を行なうトレーナーのことです。主にアスリートなどスポーツ競技をしている方をターゲットにして指導を行なうケースが多いです。0の状態から+1に、+1の状態から+2まで能力を引き上げるのが目的です。
3.【コンディショニングトレーナー】
『コンディショニング』とは、調整・整えるという意味があります。これは身体だけではなく様々な物でもよく使われますよね。
・スケジュールを調整する
・人数を調整する
・画面を調整する
全て整えることや修正するような意味を持ちます。もちろん身体も整えることがとても重要ですので、今では筋トレグッズだけでなくストレッチやマッサージなどのケアグッズもたくさん販売されています。コンディショニングトレーナーとは、鍛えるよりも身体の調子を整えることをメインに指導するトレーナーのことです。ただ、決して簡単で楽なメニューばかりを指導するのではなく、ある意味人によっては筋トレよりもキツイかもしれません。硬い筋肉を柔軟にしたり、骨格を整えるトレーニングは、想像以上にキツイものなんです。
4.【アスレティックトレーナー】
アスレティックトレーナーは、個人的に最もなるのが難しいトレーナーだと思っています。一般の方よりも、スポーツ選手の指導をしたいという方が目指すトレーナーです。選手が怪我をした時の応急処置、回復に向けてのリハビリテーション、再発防止のためのトレーニングなどを中心に行ないます。怪我のケアから怪我の予防まで幅広く担当するトレーナーなので、医療関係の方との連携も重要になってきます。資格の取得が難しいです。
5.【メディカルトレーナー】
『メディカル』とはその名の通り医療という意味ですよね。スポーツ的な障害を持つ方に対して、回復を目的とした指導を行ないます。整形疾患を訴える方への指導が主になりますね。腰痛、膝痛、関節可動域の改善などです。アスレティックトレーナーと少し似ているかもしれませんが、応急処置や再発防止などの面から役割は異なります。ただアスレティックトレーナーと同様、マイナスから0に戻すことをメインに指導を行ないます。
何を目指すかはターゲット次第
上記のトレーナーの種類を見て、「じゃあ全部目指す!どれも対応できるトレーナーになる!」と思う方も必ずいます。トレーナーを目指す方は、個人的になんでもやろうとする傾向にあります。ただ、そのやり方はオススメしません。会社にもたくさんの部署があるように、トレーナーも自分が得意とする専門分野を決めるべきです。例えば、プロスポーツチームにはトレーナーは一人ではありません。フィジカル、アスレティック、メディカルなど、各専門分野に特化したトレーナー複数いることが当たり前になってきました。なので万能なトレーナーよりも、一つの分野に強い方が価値が高くなってきているのです。
では自分自身はどの分野のトレーナーを目指せばよいのでしょうか。まずは、興味がある指導やトレーニングから考えていくと良いと思います。筋トレなどのウエイトトレーニングの指導に興味がある場合は、1.パーソナルトレーナー、2.フィジカルトレーナー。
身体のケアやケガの予防、コンディション調整に興味がある場合は、3.コンディショニングトレーナー、4.アスレティックトレーナー、5.メディカルトレーナーなどです。やはり、もっと勉強して知りたい!やってみて楽しい!と思えるような分野を選んだ方が、学びの吸収も早いですし、仕事にやりがいも感じると思います。
あとは、『どんな人を指導したいか』によっても種類は変わってきます。
一般の方なのか、アスリートの方なのかです。
1.【パーソナルトレーナー】
→ 一般の方がメイン
2.【フィジカルトレーナー】
→ 主にアスリートの方、場合によっては一般の方
3.【コンディショニングトレーナー】
→ 一般の方からアスリートの方まで両方
4.【アスレティックトレーナー】
→ アスリートの方
5.【メディカルトレーナー】
→ アスリートの方
もちろんトレーニングの目的や身体の状態にもよりますが、簡単に分けると以上のようになります。誰をターゲットにしてトレーニング指導をするかの選択は、とても重要になってきます。どっちの方が簡単か、という問題ではありません。人の身体を指導する立場になるわけですから、ターゲットが誰であろうと責任は大きいです。しかし、トレーニングや資格取得のための学校の選択など、様々な面でターゲットは影響しますから、ある程度自分が指導する想像をして決めておくことをオススメします。
現場で活かせる例
ここでは、それぞれのトレーナーが現場でどのように活動できるかを紹介していきたいと思います。
1.【パーソナルトレーナー】
(主な活動場所)
:フィットネスクラブ
:パーソナルジム
一般の方が運動をする目的で最も多いのがダイエットです。マンツーマンの指導となると、関節の動かし方や正しいフォームなどを細かく指導できます。フィットネスクラブでは様々な種類のマシンが置いてあるため、より細かく部位を分けてトレーニングできますし、初めての方にはまずマシンから慣れてもらうこともできます。パーソナルジムではパワーラックという一台で複数の部位を鍛えることができる機会を使うことが多いです。大きな違いとしては、周りに人がいるか・いないかです。設備はフィットネスクラブの方が整っていますが、周りの人の目が気になるというお客様もいるので、その場合はパーソナルジムでの指導がオススメです。次に使うマシンが他のお客様の利用中の場合もありますので、パーソナルジムだとまず重なることがありません。
2.【フィジカルトレーナー】
(主な活動場所)
:フィットネスクラブ
:パーソナルジム
:グラウンドなどの外環境
上記でも述べたように、フィジカルトレーナーは特にアスリートの方に必要になります。フィジカルを強くするには体幹部を正しく使用し、日常生活や競技の中で自然と対応できる身体を目指さなくてはいけません。そのため、マシンを使ってトレーニングする、いわゆる軌道が決まったトレーニングをすることは少ないです。自体重を中心に動きを鍛えるメニューを多くするため、ストレッチマットや外でもできることが特徴です。例えばサッカー選手の場合、ボールを扱う前の練習でもその場でフィジカルトレーニングを取り入れることができます。
3.【コンディショニングトレーナー】
(主な活動場所)
:パーソナルジム
:グラウンドなどの外環境
こちらもほとんどマシンを使いません。身体を整えることがメインになってきますので、ストレッチや筋膜リリースを中心に行います。時には安定性のために体幹部や多関節運動を取り入れることもありますが、畳一畳分のスペースがあれば充分です。フィットネスクラブのストレッチマットだと、他のお客様もいるため長く使用するのは難しい環境かもしれません。
4.【アスレティックトレーナー】
(主な活動場所)
:パーソナルジム
:グラウンドなどの外環境
:リハビリ施設
関節の安定性・可動性を獲得するための指導を行なうので、トレーニングとコンディショニングの両方が必要になります。なるべく時間をかけてゆっくり指導できる環境が良いと思います。自体重でのトレーニングも必要ですが、身体のケアや動作も入念に行なうため、リハビリ施設の設備が役立つ場合もあります。理学療法士と連携すると、より細かいメニューを組み立てることができます。
5.【メディカルトレーナー】
(主な活動場所)
:病院内
:リハビリ施設
病院やリハビリ施設に、専属で勤務しているメディカルトレーナーもいます。重りを使った指導はほとんどなく、ケガの回復や痛みの改善のために指導を行ないます。医者と連携してメニューを組み立てることもあるため、カルテを共有することも多いです。現場での応急処置にも対応するため、アスリートの試合や練習に帯同することもあります。
これから目指すべきスポーツトレーナー
今回はスポーツトレーナーの種類を大きく5つ見てきました。皆さんは、どれか興味のある・なってみたいトレーナーは見つかりましたでしょうか。実はこれらオーソドックスなスポーツトレーナー以外にも、今では独自のトレーナーを名乗る人も増えてきています。
・姿勢改善トレーナー
・美脚トレーナー
・ライフスタイルトレーナー
など、ターゲットを絞ったり自分が興味のある分野を作り出すこともできたりしますよね。SNSなどでよく見かけたりしますが、もちろんその道もありだと思います。しかし、これから是非皆さんに覚えておいてほしいのは、身体のケアができるスポーツトレーナーが生き残るということです。トレーニング種目を教えることができるトレーナーはたくさんいますが(当たり前かもしれませんが)、ケアができて指導できるのは本当に少ないです。ただそれこそが身体づくりには大切です。一時的な指導ではなく、お客様の生涯の身体づくりをサポートするためにもコンディショニングをしっかりとメニューに取りれていきましょう。何事にも点検や評価が必ず必要です。車も定期点検や車検は必ずありますよね。トレーニングで鍛えるだけではなく、コンディショニングも提案できるスポーツトレーナーを目指していきましょう!
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。