今回の新型コロナウイルスの影響で、フィットネス業界にいる皆さんはどんな影響を受けましたか??パーソナルトレーナー、各レッスンのインストラクター、もしくはジムorクラブ経営者の方々も、大きな影響を受けたことは間違いないと思います。それでも仕事は続けていくしかありません。「はい、じゃあやめます」とはいきませんよね。おそらく今をどう乗り切るか、そして今後はどのようにして仕事を継続していくかを考えたことでしょう。今回は僕の体験も含めて、今後のフィットネス業界でどのような働き方をすべきかを、パーソナルトレーナー目線からお話していこうと思います。
⑴ コロナで受けたフィットネス界の影響
まずはパーソナルトレーナーである僕が受けた、コロナでの影響についてシェアしたいと思います。コロナが本格的に日本に影響をもたらい始めたのは2月頃でした。その時点ではまだそこまで重く捉えていなかったのですが、3月に入った頃から「これはマズイんじゃないか、、」という大きな危機感を覚え始めました。
そして4月に入り、いよいよ世間が本格的にざわつき始めた頃は、僕のパーソナルジムでも大きな影響を受けていました。なんと、4月・5月の新規のお客様は0人。既存のお客様は定期的に来店してくださっていましたが、こんなことは初めてでした。今思うと、かなり油断していたと思います。消毒などの対策はしていたもののの、新規獲得が0人になる対策はしていなかったので、正直焦りました。
実は数日前に、近所のフィットネスクラブでコロナ感染者が報告され、その影響も少なからずあったと思います。
周りにあるフィットネスクラブも大打撃だったようです。退会・休会の問い合わせが連日殺到し、どんな対策をしているのかを強く迫られることが続いたそうです。スタジオレッスンなども全て中止になり、エアロやヨガなどのインストラクターの活動場所が無くなりました。僕のジムのお客様は、それでも定期的に来ていただいていましたが、パーソナルトレーナーの中には既存のお客様も来なくなり、完全に自分の仕事がストップしてしまった方もいるようでした。
そして、フィットネス指導者の救いの手であり、こぞってスタートし始めたのが『オンラインパーソナルトレーニング』でした。
⑵ コロナで学んだこと、変えていくべきこと
今回の影響は、これからのフィットネスを大きく変化させるものになったことは間違いありません。フィットネス指導者も、これからの働き方も大きく変えていかなくてはいけないということかもしれません。大切なのは、今回の経験から学び、変化していくことだと思います。僕自身が学んだこと、変えていくべきことをいくつか紹介していきます。
【学んだこと】
優先順位が低い業界
個別でのサービス価値が高くなる
その他の収益媒体を持っておく
(優先順位が低い業界)
もしかすると気づいた方もいるかもしれませんが、コロナ渦で人々の生活から一番に排除されたものって何かわかりますか??それは『娯楽』です。飲食、カラオケ、エステ、ジム、夜のお店、、、などなど。このいわゆる娯楽と言われるものが一番に排除されるのは、いったい何故なのでしょう。答えは非常にシンプルで、『それが無くても生活ができるから』です。今回のような見えない的であるウイルスと戦う時は、集団になることや人と接するのを避けますね。そんな時に一番に行かなくなるのが、行かなくても生活できる場所になるんです。当たり前ですが。今あげた例の中で、行かないと生きていけなくなるものはありません。正直どれも行かなくなったとして暮らせいてはいけます。普段の生活のプラスαとなるこれらの業界は、まず真っ先に選択肢から外れるものだと改めて感じました。
(個別でのサービス価値が高い)
上記でも述べた通り、4月・5月の新規お客様は0人でした。もしその状態が続いているようであれば、今僕はこのような記事を書いてある場合ではありません(笑)こうして実体験を学びとして捉えてお話させているのは、コロナ渦からある程度回復しているからです。実際には6月の後半から新規のお客様がグッと増えました。去年の同時期に比べるとおよそ1.5倍ほどです。当然ながらコロナが落ち着いたわけでも、フィットネス全体の売り上げが回復してきたわけでもありません。
お客様からの声を聞くと、
「フィットネスクラブはまだ感染が怖いけど、パーソナルは密にならないから。」
「さすがに家にいてばかりで運動不足。何か運動したいけどできるだけ一対一のところがいい。」
などの声がありました。運動不足であり、身体の不調が出てくるのは予想できていましたし、こういう状況だからこそ一対一の価値があがると思っていましたが、大きく価値が引き上がったことに驚きました。これからは、多少高価なものになって、値段ではなくそのサービスの価値の高さが大切になってくるのだなと感じました。
(その他の収益媒体を持っておく)
パーソナルトレーナーやインストラクターは、お客様を目の前にして行なう仕事です。どの業種も直接会ってこそだと思いますが、やはりフィットネス指導者は現場にいてこそ!というイメージがあると思います。ただ今回のコロナを受けてどうでしょうか。例えば指導一本で生計を立てていた場合、かなり厳しい状況になったのではないでしょうか。もちろんそれは僕の同じですが、幸いにも別事業の仕事もさせていただいていましたので、例えジムが閉鎖になったとしても何とかなるような環境ではありました。現代では副業の時代ということもありますから、これを境にリスクヘッジとして別の収入の入り口をつくっておくことも良いかもしれません。
【変えていくべきこと】
フィットネスのオンライン化
1対多数の指導の撤退
(フィットネスのオンライン化)
すでに取り入れている指導者も多いと思いますが、『オンライン』での運動指導が一気に増えましたよね。何かとオンライン、オンラインという言葉を耳にすると思います。
初めのうちは、
「実際にお客様の身体を目の前にできないので、どうなのか」という声も少なからずありました。僕もそう思っていた一人です。しかしこの時代、そうも言っていられませんよね。運動指導者も、対面での指導にこだわり過ぎず、時代に合わせた変化が必ず必要です。やり方次第でいくらでも方法はあると思います。僕の場合は、オンライン専用のLINE公式アカウントを作り、そこに登録していただい方には5つの身体に関する質問を送るようにしました。その5つの質問は、その方の身体の特性を分析するための質問です。もちろん100%ではありませんが、答えていただくだけで、身体の柔軟性や骨格を診断できる質問事項です。これまでの指導経験を元に、独自に作成したシステムになります。直接身体を評価する方がもちろん正確ですが、スマホ一つで提供できるサービスもこれからますますニーズが増えていくでしょう。
(1対多数の指導の撤退)
これは特にインストラクターに当てはまることだと思いますが、これから1対多数の指導は少し厳しくなってくるかもしれません。それはお客様がいなくなるということだけではありません。スタジオの中でみんなと一緒に身体を動かすメリットや楽しさは無くならないと思いますし、そういうところにメリットを感じる方も多くいるでしょう。ここでいう『厳しくなる』とはインストラクターの働き方です。
最初にお断りしておきますが、「インストラクター業がオワコン」と言っているのではありません。しかし本当にはっきりと言ってしまうと、費用対効果がかなり悪いです。
例えば、お客様が30人入るスタジオで60分激しく動いても30人分の指導料が収益として得られるわけではありません。およそ半分以上はその場所のフィットネスクラブの売り上げになります。じゃあ自分のスタジオを構えるとしても、30人が入るスタジオなど家賃だけでほぼ持っていかれます。
そして、フィットネスクラブにはその他のインストラクターもいるため、連続でレッスンがあることなどはほとんどありません。また別の場所に移動してレッスン、そしてまた別の場所に行って、、、の繰り返しです。もちろん着替えも必要なので大荷物、、。つまり、自分1人が動き回らなければ、収益は得られないのです。
それがダメとはもちろん言いませんが、仮に自分が病気をしたり事故にあった場合、仕事ができなくなりますよね。これから進んでいくオンライン化とは程遠い働き方になります。
⑶ 生き残るトレーナー、オワコントレーナー
インストラクターに限ったことではありません。僕たちパーソナルトレーナーも、今後の働き方を変える必要はあります。ただ、一対一のパーソナルトレーニングというサービス自体は、今後もニーズはありそうです。では、どんなトレーナーが今後は必要とされ、長く続けていけるのでしょうか。
(生き残るトレーナー)
生き残るという言い方は少しシビアかもしれませんね(笑)これからもトレーナーとして仕事をしていく場合、単に筋トレを教えるだけの人ではかなり厳しくなっていきます。では何をすればいいのでしょう。それは『コンディショニング』です。ストレッチや凝りの改善など、身体をケアできるトレーナーが今後は価値が高くなるでしょう。単純に筋肉をつけたり、ダイエット指導をするトレーナーはたくさんいますし、今では当たり前です。しかし、身体をケアする行為はお客様にとって心のケアにもなります。痛みに対して真摯に向き合ってくれているという信頼関係にも繋がり、リラクゼーションの効果も兼ねて、コンディショニングができるトレーナーを目指す必要があります。
(オワコントレーナー)
逆にこれから難しくなってくるトレーナーは、コンテストの成績をアピールポイントにするトレーナーです。コンテストで優勝したら集客ができると思っているトレーナーが今でも多いです。これは大きな勘違いと言えるでしょう。確かにコンテスト成績は一つのアピールポイントになりますが、正直なところお客様にとってはあまり関係がありません。『その人がどんな身体なのか』ではなく、『その人に教われば自分はどんな身体になれるのか』が重要です。なので優勝したからと言って、自分がやってきたトレーニング方法を教えたところで、お客様の身体も同じように変化はしません。身体は人それぞれ違いますから当然ですよね。筋トレ、ダイエット法のみを指導するトレーナーは、今後少なくなってくると思います。
⑷ これからトレーナーを目指す人へ
さて、今回は少し厳し目の内容になりました。
今回の記事を読んで皆さん何を感じたでしょうか。
「今から目指すのは難しいのかな、、」
「そんなの関係ない!俺はトレーナーで飯を食っていくんだ!」
「ほんとかな?あんまり信じられないけど、、」
捉え方は人それぞれだと思いますが、僕はそれでもトレーナーを目指す人を応援したいと思います。どんなかたちにせよ、運動指導者は絶対に必要な仕事になります。特にこれから高齢社会に突入していきますから、健康事業は伸びていくでしょう。その時に指導者がいなければ健康にできる方々をサポートできません。僕はかたちは変われど、トレーナーとしての仕事は今後も続けていきたいと思っています。1人でも多くの方に、正しくトレーニングができるように、僕たちが変わっていくことが大切です。
しかしそれだけではなく、指導者も自分たちのことを考えていかなくてはいけません。自分が裕福ではないのに、他人を裕福にはできないと思います。ここで言う『裕福』とは、お金のことではなく気持ちのことです。いつまでも同じで時代に合わない苦しい働き方をしていては、自分の首を締めることになります。やるからには、自分もお客様も喜べる仕事をしていきたいですよね。身体のことと同じように、自身のビジネスモデルをもう一度考え、変えていく勇気を持っていきましょう。
※最短でNSCAなどの資格取得を目指すなら、パーソナルトレーナー養成スクールへ通うことをオススメします。オススメのスクールをまとめてありますので気になる方はご覧ください。ページから資料請求も可能となっております。
>>おすすめのパーソナルトレーナー養成スクールまとめ
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。