地元である北海道を拠点に、インストラクター・チアダンス講師として活躍する後藤香織さん。過去には北海道日本ハムファイターズの専属「ファイターズガール」を経験。2017年には「旭川ラーメン応援チアダンスプロジェクト」を設立し、音楽とダンスを融合させたダンスで地域活性化にも関わっています。一児の母でありながら、仕事の垣根を超えて幅広く活動する後藤さんに迫ります。
後藤 香織(KAORI GOTO)
フィットネスインストラクター 生年月日:1983年7月10日 出身地:北海道富良野市 活動エリア:北海道札幌市 ▼活動実績 ●フィットネスインストラクター ●チアダンス教室SHINIES代表 ●旭川ラーメン応援チアダンスプロジェクト代表 ●Safilva北海道チアダンススクール講師 ●北海道ベースボールアカデミーダンス講師 ●イタリアンウェアJTB契約ライダー ●三幸学園スポーツ&メディカル専門学校非常勤講師 ●旭川明成高等学校チアダンス部指導 ▼資格受賞歴 ●チアリーディングclass1 ●USAライセンスgrade3 ●リトモスOT ●ハタヨガ ●ピルビスワーク ●2007〜2009年ファイターズガール ●第30代ミス旭川 ●2013年NEXT主催ルーキーコンテストReebok賞受賞 ●2017年ボジョレークイーンコンテスト特別賞
地域活性化を目指して誕生した「旭川ラーメンダンス」
_後藤さんの現在の活動内容を教えてください。
後藤 香織 ( 以下、後藤 ):フィットネスインストラクター、専門学校の講師、あとは未就学児〜中学生がメインのチアダンス教室を運営しています。チアダンスの仕事は色々あって、「サフィルヴァ北海道」というプロバレーボールチームのチアダンスを作ったり、「北海道ベースボールアカデミー」という、プロ野球選手を育てる団体でダンス講師をしたりしています。フィットネスとダンスのお仕事の割合はほぼ半々ですね。あとは、2017年にチアダンスを通じて地域を元気にする”旭川ラーメン応援チアダンスプロジェクト”を設立して、ラーメンダンスを開発しました。
_ラーメンとは…あの美味しいラーメンですか?
後藤:はい、北海道旭川のラーメンです。旭川は、私がチアダンス教室で毎週通っていた思い入れのある場所なんです。そんな旭川が、いつからか駅前のデパートが倒産したり、路線が廃線になって行ける場所が少なくなったり…街にどんどん元気がなくなり、旭川周辺が少しずつ廃れて行ってしまう感覚があったんです。駅を降りる度にガランとしたデパートを見るのがすごい辛くて…
自分の大好きなチアダンスとラーメンを組み合わせて、何か旭川に恩返しできないかな?と思って作り始めたのがラーメンダンスです。手話を取り入れたり、プラスチックのラーメンどんぶりを持ったりして、今では企業さんの協賛金をいただいて活動しています。旭川のお祭りや、観光PRとしてもダンスを披露しています。
_後藤さん自身、チアダンスは昔からやられていたんですか?
後藤:18歳の頃、専門学校の部活動でチアダンスを始めたのがきっかけです。その当時、チアダンスの顧問はいましたが指導者はいなかったので、他の大学に出向いて指導者の方に教えてもらっていました。そこでチアリーディング指導員資格というものがあると知り、「やってみたい!」と思って資格をとりました。自身に指導者がいなかったからこそ芽生えた気持ちでした。そこからどんどんチアリーディングにはまっていきましたね。積極的にオーディションも受けて、2007~2009年には、 北海道日本ハムファイターズのファイターズガールも経験しました。
子どもが理由でキャリアを積めない、は嘘!
_後藤さんは出産を経験されていますが、出産後も仕事を続けたい気持ちはあったんですか?
後藤:ありましたね。両親からは「3歳くらいまでは子育てに集中してほしい」と言われていたんですけど、やっぱり私は仕事が好きだから働きたかったんです。ずっと相談していて、家族の理解を得て初めて行動に移せたかな。
とは言っても、出産後は週一回のチアダンス教室しか仕事がなく、それこそフィットネス業界に関してはお仕事が一回ゼロになったんです。一度子育てに集中したことで、疎外感を感じていた時期もありました。
その中で友達に声をかけてもらったり、昔所属していたスポーツクラブの方からお電話いただいたりだ、繋がりをいただいたというのも一つのきっかけですし、自らオーディションを受けるなど、行動し続けたことで徐々にお仕事が増えていきました。また仕事復帰してバリバリやりたい!という気持ちをバネに頑張れたというのもあります。一回現場からフェードアウトしたからこそ芽生えてきた気持ちです。
_子育てとお仕事のバランスを取るのは難しくないですか?
後藤:自分の時間がないことはすごく大変です。3歳まではずっと子どもと一緒にいたので実家に子どもを預けて、その間の時間で仕事して。レッスンの振り付けを考えたり練習をしたりするのも、子どもが寝た後。
昨年の4月に幼稚園に預けるようになってからは少し余裕が出てきました。夫の扶養を抜けて、その間の時間に仕事をしています。空いた時間を有効に使えるようにもなってきました。効率化は出産を機に上がったかな。インストラクターのママさんも結構いて、時にはおしゃべりをしてストレス発散しています。
必死に守る物があることって、自分が強くなれるきっかけだったりもします。「ここで泣いてちゃダメだ」って、辛いときは常に自分を奮い立たせていました。今は子どもと一緒にチアダンスしたり、抱っこしながら踊ったり(笑)。楽しみながら子育てを両立させています。
_子育てと仕事を両立させるコツは何ですか?
後藤:子どもといる時間はしっかり遊ぶ。仕事をするときは全力でする。それぞれの時間のメリハリをしっかりつけることです。あとは時間効率を意識することでしょうか。
子どもといる時間があるからこそ、仕事も頑張れる。ぎゅっとしてるだけでいい匂いがするし、気持ちがしなやかになる。「子どもがいることがリスクになってキャリアが積めなかった」と言うのは絶対嘘です(笑)いるからこそ、できることが増えていると感じています。
子どもがいることが全てではないですけど、いる人生ってすごく豊かだなと感じています。
実は、幼稚園のお母さんたちにもダンスが広まってて、「ダンスしたくなった」って言うお母さんも出てきているんですよ!お仕事にも繋がってる!
チアリーディングも仕事も「絶対の信頼感」が大事
_今後、後藤さんはどういった活動をしていきたいですか?
後藤:フィットネスやダンスでの地域活性化ですね。レッスンできる場所を増やしたり、街を元気にしたり。人が明るくなれたり、地域全体を盛り上げていけるような活動がしたいです。チアダンスやフィットネスが、地域や人口を盛り上げるきっかけになれば嬉しいですね。
あとは、チアダンスとフィットネスを更に広めていくことです。この仕事を必要としてくれている人は大勢いるのに、回しきれていないのが現状です。チアダンスやフィットネスが自分が思うより周知されていないというのも、地方に住んたからこそ感じたことです。
特化したコアな場所ってすごくその業界を狭めていると思います。今、業界全体が1を10や100にしているような気がしていて。フィットネス業界ももっといろんな場所、例えば介護や医療、少子化対策などに向けて活動できると思いますし、もっと周りに目を向けて行けば、0を1にできることってたくさんあります。そういった活動をしていきたいですね。指導者を育てるというのも、時間の余裕があればしてみたいです。
_後藤さんのようなキャリアを描きたいと考えている人にアドバイスをお願いします。
後藤:つながりを大事にするということですね。時間を守るとか、メールをしっかり返すとか。当たり前のことをしっかりやって、信頼を積み重ねていく。人とつながりを持てたことで仕事が生まれることはすごく多かったですし、そこは基盤だと思います。
チアリーディングは、人を支えたり支えられたりする競技です。「チア痣」という、靴で肩に乗ることでついてしまうアザがあるんですけど、そんなアザがついてでもお互い想い合って支え合わないと成立しないのがチアリーディング。絶対の信頼感を培ってから練習を始めるんです。目立ちたいとか、上に立ちたいとか色々な気持ちがあるけれど、絶対の信頼関係でチームを作っていく。それって人とのつながりも一緒かなと思います。あと、笑顔は絶対欠かせないです。
そして、何事も自分から動くこと。現場にいった時は、施設の従業員から掃除のおばちゃんまで、全員に挨拶をしに行っていました。飛び込んで失敗することも多いんですけどね(笑)勢い、笑顔、挨拶、大事です!
_では最後に、後藤さんの格言を教えてください
後藤:「現状維持は後退を意味する」です。18才の時、専門学校時代の先生が言ってた言葉なんですけど、この言葉を常に持ち続けています。常に変化に対応することも大事だし、チャレンジすることも大事。常に上を求めていきたいんです。「ここまで来たら成功だ!」が、私の中にはないんです。ゴールを決めてしまうのって、すごく勿体無いことですよね。貪欲に、常に上を目指して突き進んでいきたいです。自分が投資した分、絶対誰かが見てくれているはず!選ばれてない時が選ばれてる時ですよ!
_ありがとうございました!