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グループインストラクターが パーソナルデビューするには

寄稿

2020.04.28

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こんにちは。フィットネス作家の鎌田安奈です。インストラクター・パーソナルトレーナーとしても活動中。今回は、グループインストラクターがパーソナルデビューする(そして、いずれハイブリッドな働き方を目指す)という道筋をご案内します。

5w1hで作戦会議をしよう!

現状コロナウイルスの影響、そして「非常事態宣言」が発令された地域においては、スポーツクラブの全面休業を余儀なくされ、インストラクター、そしていよいよトレーナーも「仕事ができない!!」という危機的状況に直面することとなりました。さて、どうしよう。本当に困った。悲観しても、事態は変わらない。だとすれば、幸か不幸か時間だけはたくさんできたので、これからの事をじっくり考えることを行うのもよいのではないでしょうか。
 
そこで、「グループインストラクターがパーソナルデビューをする方法」という作戦会議を提案します。パーソナル指導者は特に国家資格があるわけではありません。会社でいえば『事業計画書』。個人でも大体の設計図なり地図を描く必要が出てきます。
 今回は、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)の5W1Hを使って作戦会議をしましょう。
 
1.     WHY(なぜ)
なぜ、何のためにやるかをしっかり決める。
      「レッスン指導だけでは身体がきつくなってきた」からなのか、
  「もっと個人的に突っ込んで伝えたい(教えたい)ことがある」からなのか、
  「収入を得る手段を増やしたい」からなのか、
  「集団ではできない『何か』をやりたい」からなのか。
  「憧れの○○さんのようになりたい」からなのか。
まだまだほかにもたくさんあると思います。なんとなく、始めてしまうと、途中でうまくいかないことがあったり、迷ったりしたときに「あれ?私はなんでこの道に来たんだっけ?」「何がしたかったんだっけ?」と、自分の伝えたい内容、やりたいことが見えなくなりブレてしまいます。やろうとした理由、または何かを伝えようとした理由を最初に明確に決めましょう。いつかインタビューを受ける側になった時に、「どうしてこの仕事を選んだのですか?どんなきっかけがありましたか?」は必ず聞かれますからね。
 
2.     HOW(どのように)
どうやってそれを実現するのか、方向を見定める
「トレーナーの養成コースに通う」
「ピラティスの個人指導に切り替える(そのためのトレーニングを受ける)」
「鍼灸、マッサージの学校に行く」
「チームについていく」
「師匠に弟子入りする」
まだまだほかにもたくさんあると思います。
どうして、パーソナル指導をやろうと思ったかということに附随してくるのが実現への道のりです。中には「俺は海賊王になる!!」と決めたはいいが、その先は運命任せ…という方もいらっしゃるかもしれません。最近はやり(?)の「決めるだけ決めたらあとは宇宙に任せる」的な…(笑)それはそれでも構いませんが、やはり的を定めた行動は必要です。
海賊王になる予定のルフィがずーっと布団をかぶって寝ていたらどうでしょうか?物語をはじめようがありません。・・・せめて海には出てくれよ、という話ですね。
 
どうやったら「パーソナルデビュー」できるのか?見当がつかない!という方は、まずは憧れの人がいるのであれば、その人に直接話を聞いてみてください。話が聞けないほど雲の上の存在であれば、その人のブログや書籍、インタビュー記事などからプロフィールを見て、どういう学歴職歴などを見てみましょう。
すべてをトレースする必要はありません。まずはどっちを向いたらいいのか、どのような方向に意識を向けたらいいのかがわかれば、OKです。
 
3.     WHO(誰) それを実現できるのは誰か。
ここでいう誰?は、パーソナルデビューに向けた勉強などを「誰に教わるのか」「どんな私になるのか」の2点だと思ってください。
 ・学校で習う⇒認定試験⇒資格認定⇒所属したい施設のオーディション
 ・師匠に習う⇒認定試験⇒資格認定⇒所属したい施設の試験
 ・すでに持ってる技術(ピラティスなど)のブラッシュアップ⇒認定試験⇒資格認定⇒所属施設にパーソナル指導の許可をもらう

・その他
実際、フリーでパーソナルトレーナーとして活躍している人、独立してジムを開業している人は、ほとんど様々な団体の認定資格をお持ちです。また、「○○大会で入賞!」等という実績からトレーナーになった方も、大概は有資格者、あるいはそれに相当する知識を持っています。 
では、グループインストラクターとして活動してきた中で取得した認定や資格はどうなのでしょうか。たとえば、ヨガやピラティスの個人指導、ダンスなどの個人指導であれば、まずはそのカテゴリの指導者資格や認定があること。
「ピラティスの個人レッスン」をする私が最終ゴールであれば、それだけで十分だといえます。
 しかし、フィットネスクラブやパーソナルジムに「パーソナルトレーナー」として所属したい場合には、ほとんどの場合、指定の認定資格を持っていることが大前提になります。(NESTA-PFT・JATI-ATI・NSCA-CPT など)
仕事をするためには、それらの資格を持っていないとそもそも契約してもらえないところが圧倒的多数です。
もちろん、最初からご自宅サロンのような施設をお持ちであれば、所属するためのオーディションはいらないですね。活動の場がそこだけ、「サロンオーナー兼指導者」の私がゴールであれば、上記のような資格はなくてもいいのかもしれません。 
パーソナルトレーナーは医師や弁護士のような国家資格ではありません。極端な話、今この場で「私はパーソナルトレーナーです」と宣言して、お客様が認めれば仕事として成立します。しかし、個人の身体を預かり、その健康を維持向上していくという責務においては、まずは下地となる知識を一から得て、勉強をする、結果として資格認定につながることは決して無駄にはなりません。
 
4.WHAT(何を)何をするのか、何ができるのか
ここまで定まってくると、自分が実際に個人指導で「何をする」「何ができる」人なのかが見えてくると思います。さらに、得意なことややりたいことをもっと細かく方向付けしていきましょう。
・「女性がきれいになれるトレーニング」
・「健康になれるダイエット」
・「不調を整えるコンディショニング」
・「身体を整えるピラティス」
・「ヨガ個人講座」   などなど。
 
前項目の「どんな私」(誰)か、というのは ラーメン屋さんなのか、カレー屋さんなのか、といった「何屋さんか?」ということに相当します。となれば、ここであげていくのはお店でいうところの『メニュー』になります。つまり、どんなお店で何を提供するかを決める。もちろん、そこにはお客様のニーズというものがあります。ここを忘れると、厄介なことになります。おなかがすいていない人の前にどんな美味しそうな料理を並べても、なかなか食べてもらうことはできません。おなかがすいてきて、カレーを食べたい気分の人の前に、カレーの専門店がやってきてイチオシのカレーを並べたら・・・。
こちらがいかがですかと言う前に「売ってください」となることでしょう。そういう状況を作り出す策を練らなければ、個人指導を『売る』ことは難しくなります。
 
どうなりたい(願望)人に対して、「どんな私が 何を提供するのか」
しっかり、より具体的にイメージしましょう。想像できないものにはなれません。イメージできたものは実現可能です。こうすれば実現方法が元々不可能な目標を設定するようなことにはなりませんし、行動を起こす理由は満たしつつ実現可能な目標を設定することができます。
 
「イメージ上の私」に近づくために必要な学習内容、「提供するメニュー」を作成するのに必要な訓練や勉強は、どこに行けば手に入りますか?誰に学べば現実化しますか?そのために必要な期間、費用、現状との折り合いはどう用意しますか?
 
5.WHEN(いつ)  いつ実現させたいか?
現状のグループレッスンでスケジュールがいっぱい。用意できるお金もあまりない。だとすれば、まずは時間と費用を捻出させることからスタートです。
「ここに行きたい!」という養成コースや学びのチャンスは、いつも待っていてくれるとは限りません。「時間とお金は、作る!」と決めて行動しないといつまでたっても先には進まないものです。
グループレッスンの契約は、3か月、半年、1年など様々です。数日間でいいものならば代行をたててしまう。長期にわたるものであれば、その契約の切れ目をめどにする。
全くお金のめどが立たないのであれば、とにかく貯める。カードで払ってしまう。(分割の相談を受けてくれるところも団体によってはあります)
「えいやっ!」という、やや思い切った行動が必要です。
ここでゴチャゴチャとためらいや不安が出てくるようであれば、1のWHY(なぜ)に立ち戻りましょう。
 
なぜ、私はそれをやりたいと思ったのか。
「レッスン指導だけでは身体がきつくなってきた」「収入を得る手段を増やしたい」が動機の中心にあるのであれば、パーソナルトレーナー、個人指導でなくてもいいのかもしれません。副業も認められる時代です。レッスンよりは身体がつらくない他の仕事とダブルワークするというのも選択肢に含めていいのではないでしょうか。
フィットネスから離れたくないということであれば、所属クラブとは別の施設でフロント業務に従事する、というのも方法です。
収入ファーストで考えるのであれば「フィットネスレッスンだけで食べてきた」というプライドは邪魔かもしれません。「インストラクターが天職」だけどずっと続けたいからこそ「他業務も行う」ことで身体の酷使を避ける、というのはありえます。
 また、「みんながそっちに行ってるから」「誰かに勧められたから」ということが動機の中心にあるのであれば、もう一度考えてみてください。
「お金と時間をかけてまで、本当に自分がやりたいことか?」
 
ここで、覚悟が決まれば「いつまでになる!」と決めましょう。なれたらいいな、では なれません!「決めること!」なにより大事なのはこれです。
ゴールから逆算すれば、今やるべきこと、3か月後、半年後、と行動すべきことがクリアになります。手元にお金がないのであれば、お金を貯める、あるいは借りて返済する、選択肢はこの2つです。スケジュールのやりくりもしましょう。「何が起こるかわからないし…」といってると、この先も思うようには変わっていきません。
いったん決めたことは、今回のコロナのような状況下にあっても「先送り」するだけで、スケジュールは入れ替えればいいだけの話です。
あたかも「もうそうなった自分」を想像し、ニヤニヤしながらできる準備をしていきましょう。
 
6.WHERE(どこで) どこでやるのか
 ・「フィットネスクラブで」
 ・「公共施設で」
 ・「個人宅へ出張」
 ・「企業へ出張」
 ・「自宅、あるいは開業」
 ・「オンラインで」
どこでやるのか、は最終的な局面です。縁とタイミングというものも少なからず存在します。「どうしても○○でやりたい」という特定のスポットがあるのであれば、それを含めて「○○で△△を教えてる◆◆な自分」を大いにイメージしてください。壁の素材や床、置いてある備品まで微に入り際にわたってイメージしておきましょう。
特に、そこまで思い入れのある場所やスポットがないのであれば、どんなところだったらどんな風な自分がどんな指導をしているのかをイメージしましょう。
現在あこがれている具体例があれば、微に入り際にわたって真似するのもいいでしょう。「学ぶ」は「真似ぶ」から始まります。「TTP:徹底的にパクる」というのも手法の一つです。(法的に問題のない範囲にしてくださいね。念のため)

もちろん、現実化したときには「思ったのと違う」ことは山ほど出てくると思います。それでも、脳内では既成事実化してるくらいまで繰り返しイメージし、想像出来うるリスクもリスト化し、その対応策まで練っておきます。そうやってる自分が当たり前の姿、まで想像できれば、目の前に起こる様々な困難は想定内。落ち着いて、乗り越えられるでしょう。
 
困難について
最後になりますが、パーソナルデビューした後は、「自分でお客様を獲得する困難」が待ち受けています。クラブによっては、指名のないお客様を順番にふり分けてけてくれることもないではないですが、基本的には「自分のお客様は自分で見つける」ことが基本です。パーソナルトレーナーの契約は、セッションして幾ら、という業務委託がほとんど。1日ずっとジムにいてもお客様とのセッションがなければ収入はゼロです。ジムにいるだけで時給が発生するバイトトレーナーとはそこが違います。
また、グループレッスンにおいては、めったなことでは「クローズ」にはなりませんし、通常時であればクローズでも半額程度のフィーの支払いはあることが多いと思います。(クラブの運営方針や契約状態によって一概には言えませんが)
しかしながら、パーソナルは文字通りマンツーマン。お客様が何らかの都合でいらっしゃらなければ、その時間はなし。ノーワークノーペイ、つまりゼロです。デビューして最初からキャンセル待ちの予約が途切れないトレーナーというのは、夢の世界だけです。
ゼロから一人、二人・・・と地道に積み上げていくのがトレーナーの集客です。
最初からもろ手を挙げてお客様が待っててくれるスタジオレッスンとは違います。
 
ですから、何度も確認してきたように「なんのために、自分はパーソナルをやりたいのか」があいまいで脆弱だと、この段階で心が折れてしまいます。

この部分を乗り越えるグループインストラクターならではの方法もあるのですが、それはまた別の記事で…。

▼ライター
鎌田安奈(annna  kamata)
現在は、インストラクター&パーソナルトレーナー&フィットネス作家として活動中。
フィットネスクラブ、公共体育施設、企業フィットネス、サークル等幅広く指導の場をもち、中高年からシニアに向けて、「介護いらずで一生元気!」をモットーに活動している。
座右の銘は、明るく元気でお気楽に。
最近は、ハリウッドで活躍するスタントマンに弟子入りし、アクションの練習と撮影にハマっているが、実はオタクでインドア派。

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