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2020.03.04

ヨガを通じて《心に余白》を。メンタルリトリートメントスタジオを目指して──「ここヨガ」吉田なる

インタビュー
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もともとは芸能活動をしていた吉田さん。高校生のころに初めてヨガに出会い感動し、いつしかヨガインストラクターを目指すように。そして、大学生で心理学を学ぶ中でヨガがひとの心を救う最適解なのではないかと改めて強く実感し、在学中に資格を取得しフリーのインストラクターとしてデビュー。2016年に「ここヨガ」を開業し、今では20人以上のインストラクターと共に「ここヨガ」の代表として活動中。そんな吉田さんが独立したきっかけや今後の「ここヨガ」について話を伺ってきました。

吉田 なる( NALU YOSHIDA )

株式会社COCO&COMPANY 代表取締役 ヨガインストラクター 生年月日:1992年7月18日 出身地:神奈川県 活動エリア:東京

ヨガとの出会い。そして胸に響いた先生からの言葉

__まずは、ヨガインストラクターを目指すことになったきっかけを教えてください。

吉田:もともと芸能活動をしていたんですけど、体型維持や役作りのため、高校生のころからフィットネスクラブに通っていたんです。ただ、ヨガのレッスンは受けたことがなくて、ヨガへの印象もあまり良くなくて…気取った女子がやっているイメージがあったので(笑)呼吸を整えてちょっと体を動かすくらいじゃ痩せないし、体も変わらないと思っていたので、ずっとヨガは避けてたんですよ。

__そこからなぜヨガに目覚めたんですか?

吉田:どうしても気分的にスタジオプログラムを受けたいと思った日があったんですけど、ちょうどその日がヨガしかなくて、仕方なく受けてみたんです(笑)そしたら、もう感動しちゃって!しかも思ったより全然しんどいし、ポーズも上手くできなくて。なんかスポーツ的な面白さがあるなと。あと、そのときの先生が「自分自身を許していくんだよ」っていう言葉がとても胸に響いてきて…。初めてのレッスンでスタジオの後ろでウルウル泣いてました(笑)その瞬間、既にぼんやりといつかインストラクターという仕事をやってみたいかも…という意識が心のどこかに芽生えてた気がしますね。

__ヨガに出会ったその日とはまさに「運命」ですね!それでは、インストラクターになるまでの道のりを具体的に教えていただけますでしょうか?

吉田:ヨガに出会った2年後くらいに芸能のお仕事を辞めたんですね。それと同時に、ヨガのお仕事をしようと決めました。そこから都内にある溶岩ヨガスタジオでフロントスタッフのアルバイトを始めて、1年後くらいにRYT200の資格を取って、大学2年生の20歳のときにフリーのインストラクターとして活動を開始しました。

__え、学生時代にデビューしたんですね。すごい!

吉田:そんなことないです(笑)フリーのイントラクターとしていろんなスタジオにレッスンをしに行っていただけなので。フリーを数年やって、2016年7月に「ここヨガ」を溝の口で開講しました。

ヨガ業界の課題に向き合っていくために起業を決意

__なぜ独立という道を選んだのですか?

吉田:いろいろあるんですけど、ヨガ業界をもっと変えたいなと思ったんです。フリーのインストラクターさんを酷使している感じがまだあるのかなと。インストラクター同士は仲が良くても、経営サイドと現場サイドで大きなギャップを生んでいるケースが多くて、そんな現状を変えたいなと思ったことが一つ。もう一つは、ただ単にそんな現場に耐えられなかったですね(笑)成果を出せば出すほど、その会社の財になっていって、私はただのリソースの一部として使われているなと。そういう経験をした私だからこそ、仲間を大切にしたスタジオを作ることができると思ったし、もっと自由にイキイキと働ける環境を作って少しでも業界が変わるキッカケになれればという想いで立ち上げました。

__業界の働く環境をもっと良くしたいと。すごく熱い想いを感じました。

吉田:あと、今後女性としてのライフイベントが待っているかも知れないって考えたときに、業務委託のフリーインストラクターだとどうしても休職しなければいけない期間ができちゃうと思うんです。私はヨガというものが社会をもっと変える力があるなと感じているので、一時的にでも業界から離れるという選択は取りたくなくて。同じように考えている人も多いと思うので、「ここヨガ」はインストラクターが持続的に働ける環境を作って行きたいと願っています。

__持続的に働けるようにするための解決策は何かあるのでしょうか?

吉田:例えば、RYT200という資格があるんですけど、その資格を付与しないタイプの研修形態を取っている会社さんも多くて…。一方で、その資格がないと独立がしづらいんです。独立する為に、そこで働きながら資格取得を目指すのは現実的にはかなり厳しいので、そうなると一旦辞めて資格を取るしかなくて。ただ、ここにも大きな壁があって、ヨガのインストラクターは全体的に収入が低い傾向にあるので、退職して収入が少ない中で50万円もかかる資格を取得できる人がどれだけいるかって言われると、これもまたほとんどいないのが現状だと思います。それであれば、RYT200を付与できる研修形態に変えてあげるだけで、インストラクターを続けながら資格取得ができるようになるので、そういう環境をより良くしていくためのアプローチをして行きたいと思っています。

__なるほど。他にも業界のルールを変えたいと思っていることはあるのでしょうか?

吉田:そうですね。ホットヨガに関して言えば、何本もレッスンをすること自体がインストラクターの健康にとって良くないので、そこを理解して改善する方向には持っていく必要があるのかなと感じています。やっぱりお客様に健康を提供しているにも関わらず、従業員が不健康な状態になってしまうのは良くないと思うので。ここは私たちも含めて業界全体の課題がまだ残っているのかなと思いますね。

「ここヨガ」の未来を作るために

__それでは、今後の吉田さんのキャリアについて教えて頂けますか?

吉田:もともと「ここヨガ」は、自分自身が持続的に働くために作った部分もあるので、できる限りインストラクターを続けたいと思っていたんですね。ただ経営者である以上、ファイナンスやマーケティング、採用などインストラクター以外の仕事もやる必要があって、それが正直ストレスだったんですよ。でも、インストラクター業務を減らしてでもそこをやって行かないと「ここヨガ」の未来を創れないと思うんです。
そんな葛藤を抱えていたときに、ふと「ここヨガ」がすごく好きだなって改めて思ったときがあって。生徒さんのことがすごく好きだし、先生たちもすごく好きだし、目には見えない「ここヨガ」の精神も好きで…もはや私が意図して設計した部分ではなく、みなさんが一緒になって創り上げた「ここヨガ」という存在がただただ好きだなって。
そのためであれば、やりたいと思っていたインストラクターのお仕事とか肩書きとか全て手放してもいいなと思ったんですよね。なので、今は自分にしかできない仕事をやって、もっと「ここヨガ」を良くしていきたいなと思っています。

__「ここヨガ」をより良くするためにイメージしている自分自身の最適な立ち位置はあるのでしょうか?

吉田:例えば代表取締役を別の人にお願いして、私はブランドディレクターになるのもありかなと思っています。インストラクターとしてヨガを教えながら、インストラクターを教育していくという立場にもしなれる日が来るのであれば、それはすごく理想的なカタチではありますね。ただ、現実的には今それを実行できるフェーズではないので、将来的にはそういうスキームを視野に入れつつも、今は私にできることを粛々とやって行こうと思っています。

「ここヨガ」は心を整え、心に余白をつくる場所

__「ここヨガ」の目指す未来はどんなイメージでしょうか?

吉田:私たちは単にポーズを取るだけの「ヨガスタジオ」が作りたい訳ではなく、「メンタルリトリートスタジオ」を目指しています。

__メンタルリトリートスタジオ…?もう少し具体的に教えてください。

吉田:例えばいかにアクロバットなポーズを取れたかなどは大切なことでなく、お客様に日々のストレスからそっと離れて《心の余白》を作り、自分の小さな幸せに気づく体験を提供したいと思っています。一言で表現すると、「心を整える」ということですね。今までスタジオに通って下さるお客様をみてきて、性格が明るくなったり、ヨガ以外にも新しいことにチャレンジしていくようになるのを見てきて、「スタジオに通う時間のない人にこそ《余白》が必要なのではないかと思うようになったんです。

__そうなると、ヨガ以外にも新しい試みを考えているのでしょうか?

吉田:そうですね。ヨガだけに捉われない事業展開をしていきたいですね。それがまだ何かは見えていませんが、例えばオンラインカウンセリングとか瞑想とか今後いろいろと模索していきたいと思っています。

__そもそもなぜメンタルリトリート事業をやりたいのでしょうか?

吉田:自分自身の原体験が影響している部分もありますし、そもそもメンタルケア系のサービスはまだ選択肢が少ないのかなって。例えば心療内科などは心が病んでからいくところで、予防としていく人っていないですよね。私たちはメンタルリトリートを通じて、普段から心を整えて、心に余白を作ることで小さな幸せを感じて欲しいですし、心が病まない状態、心身共に健康な状態をサービスとして提供していきたいと思っています。

__ありがとうございます。ヨガインストラクターの中には、吉田さんと同じように働く環境に不満を抱いている方や単純にキャリアについて悩んでいる方にメッセージをお願いします。

吉田:現状に不満があるのであれば、起業して理想のスタイルを作ればいいと思っています。そういう想いを持った人が増えることで業界は更に活性化して、発展していくんだと思います。私自身も起業する前は、起業したらその道以外の選択肢はなくなってしまうと思ってましたけど、実はそんなことなくて起業してその後、フリーのインストラクターに戻った人もいるし、売却する選択肢もあると思います。

__ありがとうございました。

【編集後記】

ヨガ業界の課題に真正面から向き合っている吉田さん。
その吉田さんの言葉には重みがあり、一つ一つの言葉に熱いものを感じました。取材中に何度も「ここヨガ」の未来にワクワクし、共感の連続。特に現代社会は経済的に豊かになった一方で、競争が激しく、結果ストレス社会と言われています。心の病を抱える人が増え、精神的な豊かさが失われていきます。だからこそ、メンタルリトリートが必要なんだと。心の余白は気持ちを落ち着かせ、人と比較しないで自分らしさを取り戻せる。
まさに現代社会に必要なことだと感じました。これからの「ここヨガ」が楽しみです。


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