パーソナルトレーナーとは、お客様にマンツーマンでトレーニング指導をする運動指導者のことです。一般的には、スポーツクラブや小型のジムで活動しています。お客様一人ひとりのニーズを聞き出し、その目的に合った運動を提供するためには、「身体の知識」は必須となります。しかし、身体の知識以外はトレーナーによりけり。トレーナーのイメージは、「筋骨隆々」「明るい」「コミュニケーション能力が高い」と思われがちですが、決してそうではありません。今回は、みなさんのイメージするトレーナー像には無かった「実はこんな人がトレーナーに向いている」をご紹介します。
しゃべり上手よりも聞き上手
パーソナルトレーニングのスタートは挨拶、体調の確認、トレーニングの進捗共有など会話から始まります。セッション中も声がけがあることで、トレーニングを頭で理解し、辛い場面でもお客様は頑張ることができます。マンツーマンのトレーニングですから、会話がなければ成立しません。しかし、「私はあまり喋ることが得意じゃないから」と思っている方は安心してください。なぜなら、決して「しゃべれる」トレーナーが人気ではないということです。むしろ、お客様の会話に耳を傾け、親身になってくれるトレーナーの方が好まれます。
人は自分の話を聞いてくれて、理解してくれる人に好感を抱きます。知識自慢、筋肉自慢をされても、お客様の信頼には繋がりません。例えば、洋服を買いにお店に行ったとしましょう。店員が寄ってきて「こちらが新作です。」「これが流行っています。」「おしゃれですよね?」と言われても、こちらからすれば「よくしゃべる人だな」程度にしか思わない。もしかすると、押し売りだと不快感を抱く人もいるかもしれません。
接客業において、「お客様目線」とよく言われますが、これをどれだけのサービスマンが実行できているのでしょうか。大切なことは、お客様が求めていることで、まず「聞く」ことができなければパーソナルトレーニングを購入していただけないのです。聞くというスタンスで、目的に対し明確な方法をお話しするだけで良いのです。割合として聞く8:しゃべる2ほどでセッションは成立します。
今後、高齢者が増加する中で、「聞き上手」は重宝されます。スポーツクラブには、「身体の悩み」のほか、「会話」を楽しみにされている高齢者が大勢います。その楽しみを叶えられるトレーナーが「聞き上手」なのです。会話はストレスを軽減し、脳を活性化させます。高齢になるほど、面倒なことが増え「運動不足」「コミュニケーション不足」からさまざまな病気を招きます。トレーナーは運動を指導するだけでなく、心のケアにも努めるべきです。
年代問わず、運動が好きな方は珍しく、「仕方なくジムに行く」方がほとんどでしょう。退会理由に「スタッフが声をかけてくれない」が上位にあるようにコミュニケーションを求める声はたくさんあります。その上で、しゃべることに不安があっても心配は無用です。身体の勉強はしつつも、聞くスタンスさえ保てればトレーナー業界で活躍することができます。
料理家
健康を支える要因の一つが「栄養」です。栄養が9割と謳う書籍も存在するほどです。パーソナルトレーニングはダイエットのお客様が半分を占め、筋トレと栄養の両面からサポートし、理想の体へと導きます。栄養指導は、カロリーの設定だけでなく、食材選びなども行います。この時に料理の経験が生きてきます。
まず、食材選びでは「スーパーにある」「ネットでしか買えない」という購入場所の話ができます。お客様がコンビニのみ利用する方であれば、コンビニの中でダイエット食を考案しなければなりません。「とりあえず〇〇を食べてください」では、実行していただけないのです。また、季節によって値段が変動する食材やそもそも高価な食材は、継続が困難になるケースもあります。
パーソナルトレーニングにお金がかかり、食材にもお金がかかるからです。ストレスが多いダイエット中はできるだけお客様の「負」を取り除けるかが継続のポイントになります。ダイエット食は質素な食材が多く、「分量」「調理方法」「調味料」までこだわる必要があります。
人の脳は「脂肪食」に強烈な幸福を感じます。それは高カロリーで体にとって都合が良いからです。しかし、現代は飽食の時代と言われ、巷には「脂肪食」が溢れています。だからこそ肥満を引き起こすのですが、ダイエットとなれば「脂肪食」をできるだけ避けなければなりません。「揚げ物は禁止」「ドレッシングはノンオイル」ともなれば、ストレスでしかありません。「こうしたら美味しいですよ」と的確なアドバイスができるだけでお客様のモチベーションは維持できます。何より料理をしない人の食事指導はどこか味気ないです。料理をしているからこそ、レシピの提案、値段を抑える方法、調理の大変さを現実的に指導ができるのです。料理家は、食材の購入、調理まで行っているため、お客様から信頼を得られやすいでしょう。
オタク気質
トレーニングオタクと聞いたことはないでしょうか?毎日トレーニングを行い、食事も徹底的に制限し、常に筋肉のことを考えている方たちです。これはやらされているわけではなく、筋トレが好きだから続けていられるのです。パーソナルトレーナーは体を専門とする職業です。
「栄養」「筋肉」「トレーニング」と体に関するさまざまなことを学びます。オタク気質の特徴は、夢中になれて、その道を極められることですが、非常に専門職に向いています。実際にお客様とトレーニングを行う中で、たくさんの壁に当たります。人の体は十人十色ですし、目的や要望もそれぞれ異なるからです。それに対応するために、日頃から勉強をしているわけですが、オタク気質なトレーナーの成長スピードは目を見張るものがあります。これも徹底的に学び、徹底的に極められる気質だからです。
また、学ぶ上で重要となるのが、能動的に学ぶこと。積極的に学ぶということです。理解に苦しむことや繰り返しても記憶できないことが多々あるかと思います。ほとんどの方がここで挫折する中、オタク気質は学びを止めません。それだけ夢中になれることは素晴らしいですし、長所と言えます。過去に「半年間ゲームをやり続けた」「フィギュアをたくさん集めた」「アイドルを10年以上追っている」方で、トレーニングや体に興味があればトレーナーで一花咲かせられるかもしれません。
コンプレックスがある人
「コンプレックス」と聞くとマイナスなイメージがあります。「性格」「体型」「声」などさまざまです。とくに「体型」や「見た目」にコンプレックスを抱く方は多いのではないでしょうか。一般的には、良くないものとされがちですが、トレーナー業ではコンプレックスがある方が売れる傾向にあります。なぜなら、自身のコンプレックスを仕事に生かせる場面が多々あるからです。
過去に太っていた、O脚、短足など見た目に悩んでいた経験こそ実践的で価値のある運動療法を提供できます。トレーナーは体の悩みを改善する専門家です。トレーナーとして学びを進めながら、自身の体を改善することができます。コンプレックスが多ければ多いほど、自身の体でたくさんの実験ができるのです。
巷で流行っている体操よりは、正確に短期間で成果をあげることができます。そして、コンプレックスが改善したのであれば、同じコンプレックスに悩むお客様に提供することができます。トレーニング効果を引き出すまでには、期間が必要です。「今日はここまでやろう」「1ヶ月後にはこのくらい良くはなっているだろう」と実践した本人だからこそ適切な運動療法を提供することができます。O脚の改善方法はいくつも存在します。どれも間違いではありませんが、長期的に実践すれば「効果がある」「効果がない」と良し悪しが露呈してきます。
これは、「安全性」「セルフトレーニング」「鍛練度」などによって、使い分けが必要だからです。この使い分けの判断は、トレーナーであっても難しく、かつ素人であれば容易なことではありません。いま、「専門性」が求められるトレーナー業界には、コンプレックスを抱え、そのコンプレックスを脱した経験から生まれるパーソナルトレーナーが活躍できるでしょう。
女性
女性にとって体に関わる仕事であれば、エステやマッサージが思い浮かぶでしょう。現にそれらは女性にとって人気職です。最近は、女性トレーナーも増えていて、メディアに取り上げられるトレーナーも女性が多いように感じます。これまで、トレーナー含めスポーツ産業は根強く男性社会でした。
いまは、働き方が多様化したことや、運動の幅が広がったことで女性が入りやすい環境となりました。しかし、現場には女性トレーナーを求める声に対して女性トレーナーが足りていません。すなわち、女性トレーナーは無条件に売れる可能性が高いのです。フィットネスが徐々に認知され「腹筋女子」「筋トレ女子」と若い世代でも筋トレが浸透してきました。SNSの影響からか、見た目を意識することが当たり前になり、ダイエットやボディメイクを希望するお客様も増えました。そんな中、女性トレーナーを指名する方は大勢います。
「男性トレーナーだと緊張してしまう」「言いたいことが言えない」こともあります。女性特有の悩みも打ち明けづらいでしょう。そもそも、パーソナルトレーニングを受ける方の7割が女性です。それだけ現場では女性トレーナーを欲しているのです。しかし、「重いダンベルは持てない」「そこまで追い込みたくない」と声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。実際にパーソナルトレーニングは重りを扱うだけがトレーニングではありませんし、お客様も追い込みたくない方はいます。重りを持たずに負荷をかけられる「ゴムバンド」「ボール」など便利なツールを使用すればトレーナーの体力的負担はほとんどありませんし、実際に体を動かすのはお客様ですから、ある程度の補助技術と筋力があれば十分です。中には、トレーニングは指導せず、栄養のみ行う女性トレーナーもいます。
これからの健康産業を盛り上げるべく、トレーナー業に一歩踏み入れてみませんか?
トレーナー業に向き不向きは無く、自身の特徴が活きる仕事です。「こんな私でも」「こんな僕でも」楽しく働くことができます。業界がまだ浅く、初心者でも大いにチャンスがあります。この機会に体のスペシャリストを目指してみませんか?
※最短でNSCAなどの資格取得を目指すなら、パーソナルトレーナー養成スクールへ通うことをオススメします。オススメのスクールをまとめてありますので気になる方はご覧ください。ページから資料請求も可能となっております。
>>おすすめのパーソナルトレーナー養成スクールまとめ
谷口一樹(Kazuki Taniguchi)
現在は、パーソナルトレーナー兼インストラクターとして都内で活動中。 大手フィットネスクラブトレーナー養成の帯同やセミナーの開催、フリーランス向け懇親会を主催している。 フィットネス業界は他業種に比べフリーランスが多く、各個人が活躍できるために日々、奮闘している。
モットーは「人と人との間でしか感動は生まれない」
スポーツ歴:野球(甲子園2大会出場)ソフトボール(全国3位)