「パーソナルトレーナーになりたい」と思ってから、まず何を思い浮かべるでしょうか。 おそらくですが、「トレーナーに必要な資格ってなんだろう」「トレーナーとして仕事をするためには資格って必要なのかな」「どんな資格があるんだろう、どうやって取得するんだろう」。このようなことを考えるのではないでしょうか。 私自身トレーナーを目指す際に、資格について様々な話を聞いて資格を選びました。パーソナルトレーナーの仕事は、資格が無くてもできる仕事になります。しかし、資格があることで就職の際に有利になったり、固定給があがるだけでなく、やはりお客様からの信頼がかなり変わってきます。今回はスポーツや体育の専門科を卒業していなくても、今から取得できるおすすめの資格をお伝えしていきます。どの資格にもそれぞれの特性がありますので、自分が目指すトレーナーに当てはまる資格を取得しましょう。 また、☆マークで難易度を表しました。こちらも勉強するときの参考にしてみてください。
1.【NSCAーCPT】☆☆☆
どの資格を取得するか考えたときに、1番最初に思いつく有名な資格の一つではないでしょうか。NSCAはとても有名で国際ライセンスでもあるので、まずはこの資格からお話していきます。
NSCAは一般の人々の健康増進やアスリートの競技力向上などを目指して、研究に基づいたトレーニングやコンディショニングをおこなっています。対象者はアスリートだけではなく、一般の方にも指導を行います。そのため、医学的・運動生理学的知識やトレーニングの技術指導が必要です。それらを満たした人がこの資格を取得できます。
では、資格取得に向けて具体的にどのように行動すれば良いのかお伝えします。NSCAーCPTは、認定試験に合格すればNSCAジャパンから認定されます。そのためにはまず受験するための条件を満たす必要があります。
⑵ 満18歳以上である。
⑶ 高等学校卒業もしくは高等学校卒業程度認定試験合格者である 。
これらの条件をクリアしていれば試験を受験することができます。ただ、会員になるためには年会費が必要になってくるので詳細はNSCAジャパンのサイトを確認してください。そのほかにも心肺蘇生とAEDの認定が必要になってきます。
その講習会を受講して認定してもらう必要があるので忘れず確認してください。 試験方法はコンピュータベース試験になります。試験についても受験料や試験時間など詳細は公式サイトで確認してもらえればと思います。この資格はNSCAの中の資格で高い難易度というわけではなく、過去の合格率はだいたい75%程となっています。しかし、教本を全体的に読んでおく必要があるでしょう。計算しなくてはいけない問題もあるので、広く勉強しておくことをオススメします。
この資格のメリットとしては、数あるトレーナー資格の中でも有名な資格で、就職の際の資格の有無でこの資格があることで基礎は理解できていると判断してもらえるのことが多いのではないでしょうか。優遇される資格としてNSCAの資格が記載されてあったりと内定の確率はグッとアップするはずです。また、クライアントに対しても1番信用してもらいやすい資格の一つだと思います。
ただ、日々の指導やコミュニケーションで本当の信頼は得ていけるので資格を取ることが目的になったり、それに甘んじずに日々学んでいってもらえればと思います。
2.【NASMーPES 】☆☆
続いてお話しするのがNASMーPESという資格です。
この資格はアメリカの理学療法士から誕生した資格になります。この資格を訳すとパフォーマンスを向上させるスペシャリストということになります。この資格は栄養学からストレングスまで、幅広い知識を得てもらいます。
というのも、パフォーマンス向上には様々な要素が求められるからです。これらの要素に全て対応できるのがこの資格の特徴になります。この資格もアスリートだけではなく一般の方も対象に指導していくことができ、信頼性の高い資格の一つです。そしてこの資格は日本ではまだあまり浸透していないイメージですが、海外では有名な資格の一つで資格としての信頼度も年々高くなってきています。アメリカだとこの資格を取得しているトレーナーはNSCAよりもかなり多い人数になっています。 この資格の受験資格としては以下のようになります。
⑵ アメリカの体育会系団体である複数の団体が認定する団体の資格を持っていること。
この二つのどちらかを満たしていれば受験資格があります。なので体育系の学部を卒業していなくても受験することができます。 受験方法はオンラインでの受験になります。100問の中から70問正解すれば合格となり、比較的難易度は低いと言えるでしょう。テキストは英語版が届きますが、日本で提携している会社が日本語でのオンライン講義をしているので詳細はNASMーPESで検索してみてください。
この資格の他の資格との大きな違いとしては、年会費・更新料がかからないことです。多くの団体は年会費や更新料がかかりますが、この資格は一度取得すればそのまま資格を持ち続けることができます。さらに現在大学在学中の方には朗報なのですが、この資格を申し込む際に学生の方は学割があります。ただし条件がありますので詳細をきちんと確認してから申し込むようにしてください。年会費や更新料がない分、最初の受講料は他の団体よりもやや高くはなっています。
3.【JATIーATI 】☆
この資格もトレーナーを目指す方に目につきやすい資格です。トレーニング指導者を目指す上でこの資格を取得することは、日本の環境に合ったトレーニング理論や知識を身につけられます。
この資格もNSCA同様に、就職や資格の有無を聞かれた際に基準になる資格の一つなので、優遇されやすいと思います。この資格はレベルごとに資格が分かれていますが、今回は1番初級に該当する資格をお話します。 この資格を取得するには以下の順番で取得を目指していくことになります。
⑵ 養成講習会を受講して学習課題を提出する。
⑶ 試験を受験して合格する 。
養成講習会では一般科目・専門科目それぞれ二日間ずつ受講します。学習課題を提出することで認定試験の受験資格が付与されます。この項目があるので未経験でこれからトレーナーを目指す方にとっては心強いプログラムです。
試験は、一般科目と専門科目のどちらも合格した方が資格取得になります。どちらも選択のマークシート方式になっており、学習しやすいと思います。この資格は有効期間が5年間になるので、5年ごとに更新手続きが必要です。そして、この資格は別の資格を取得している方や過去に受験したことがある方など様々な項目で養成講習会が免除になる場合があります。細かい項目は公式サイトを参考にしてください。
4.【日本スポーツ施設協会公認トレーニング指導士】☆☆
この資格はスポーツ施設における管理、法的責任などの施設管理運営に関する知識やスポーツ医科学や応急処置、栄養学などの理論や実技指導の知識を持って指導できる資格です。 資格を取得するのにはまず講習を受けることになります。その条件は下記の通りです。
⑵ 現にスポーツ施設の管理・運営に従事している、またはこれから従事しようとする者 講習を受講して修了した人。
以上が試験を受験できます。講習は3日間で施設管理やマーケティング、救急処置など様々なことを学びます。試験もその内容に伴ったものが出題されるため、取得もしやすい資格の一つです。
資格の有効期間は4年間でその後は更新をすることになります。更新するためには研修や会議への参加が必要になってきます。今までの資格と比べてトレーニング指導に関しての内容はほぼありませんが、これからスポーツ施設などで働きたい方や、将来そのような施設を運営していきたい方などは一度参考にしてもらえると幸いです。
5.【NESTAーPFT 】☆☆
この資格もアメリカが本拠地の国際ライセンスでとても有名な資格の一つになります。この資格では幅広く知識を得られるのはもちろん指導技術や接客、ビジネス的なスキルも学ぶことができます。
認定試験は2日間にわたって行われます。1日目は事前講習を行い、2日目に試験となります。試験は4択の選択問題になっています。認定されると4年間の有効期間があります。その後は更新をしますがそのためには単位を5.0取得する必要があるので要注意です。単位の取得にはセミナー受講やオンライン授業などいくつか方法があるので更新時期が近くなったら確認してください。 試験を受験するための項目は以下のようになります。
⑵ CPR・AEDの技能に関しての定期的なトレーニングを積んでいる。
⑶ 日本国籍または日本で就労可能な在留資格を持っている。
⑷ 満18歳以上で高校卒業以上の者もしくは高校卒業認定試験合格者、NESTAの認定カリキュラム修了者。
⑸ NESTAの認定する養成講座、養成コースを受講済み
このようにNESTAは他の資格に比べると受験資格を得るための項目は多くなっています。ただ、それだけ知名度や信頼度のある資格なのでトレーニングはもちろん様々な知識や技術を身につけたい方は参考にしてみてください。
これは個人的になのですが、トレーナーになりたての人やこれからトレーナーになりたいという人はこのNESTAーPFTを取得している方が多いように感じます。知名度的にも有名なのも理由の一つですが、それだけでなく比較的取得しやすい資格の一つなのが理由です。NSCAと比べて、教本も半分以下のページ数ですし、勉強しやすさも特徴の一つです。もちろんしっかりとした内容ですので、取得しやすいからといって意味がないというものではありません。信頼性も高いのでオススメできる資格です。
【資格を取得した後の注意点】
ここまでオススメの資格を紹介してきましたが、資格を取得した後の注意事項についてもお話していこうと思います。
それは、資格取得がゴールではないということです。トレーナーの資格を持つということは大きな第一歩であることは間違いありません。しかし、取得したからといって完璧なパーソナルトレーナーになったというわけでもありませんよね。世の中の情報や知識はどんどんアップデートされていくわけですから、自分自身も満足せずに常に新しいことを取り入れ勉強し続けていく必要があります。
「自分は資格を持っているからそれだけで充分」という考えは非常に危険です。そもそも、お客様の中で勉強した通りの方が来るとも限りませんし、一人一人の身体は全くの別物です。資格はあくまで自信と信頼の一つの武器にすぎません。さらに言えば、勉強していくことは知識の勉強だけではないはずです。独立しているのであれば集客のためにマーケティングの方法を学ぶ必要がありますし、話すことが少し苦手なのであれば喋り方や聞き方も学ぶことは大切です。専門的な知識よりも、お客様は人柄や話し方などに注目する場合が多いからです。身だしなみも気を配る必要があります。そういったことも含めて、資格取得がゴールでないことを覚えておきましょう。
【最後に】
資格はそれぞれの特徴があって面白いですよね。ここでお伝えした資格はあくまで数ある選択肢のいくつかに過ぎません。皆さんがどのようなトレーナーになるのか、どこで働くのかなど、ご自身の目的と手段を考えた上で必要な資格や取得したい資格を選んでもらえると嬉しいです。
なりたいトレーナー、ターゲットにするお客様の特徴によって全く別物になってきますからね。勉強して取得した資格を、存分に現場で活かしていただきたいなと思います。
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。