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【ここまで知っているパーソナルトレーナーは強い!】説得力が増すスポーツ医学の基礎知識

寄稿

2021.11.16

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今年も残り2ヶ月になりました。 今のところコロナも落ち着き始めると言っていいでしょうか。ですがこれからまた寒くなってくるので体調も崩しやすいですし、空気も乾燥してきます。そうすると、菌やウイルスが繁殖しやすくなってきますので、まだまだ油断はできませんね。体調管理もしっかりしなくてはいけません。 さて、こういう季節というのもあり、今回はスポーツ医学についてお話していきます。医学と聞くと何となく「難しそう」という印象がありますが、本来、医師や看護師、理学療法士というような医療従事者の分野になってきます。パーソナルトレーナーとは関係ないんじゃない??と思うかもしれませんが、実は全くそんなことありません。なぜなら、トレーニング中の現場やスポーツ競技中に我々トレーナーが1番現場に近く、初期の対応をすることが最も多いからです。 トレーニングだけでなく、スポーツでいうと試合中にここでスポーツ医学の知識があることで、きちんとした対応ができたり、医療従事者に引き継ぐときに重要な情報をきちんと伝達できます。また、医療従事者に比べてトレーナーは医学の知識が浅いというイメージがありますが、人の身体に携わるという点では一緒です。知っておいて損はないでしょう。知識を持っていることで相手への信頼にも繋がりますよね。相手との信頼関係を築くうえでも医学の知識は非常に重要ですので、少し難しい内容になりますが、必ず役立つと信じて読み進めていきましょう!

【1.呼吸器感染症について
】

1つ目は上気道炎・かぜ症候群についてです。ここ1、2年は咳や気道に関して敏感になっている時期ですよね。気道領域のさまざまな急性炎症性疾患を総称して上気道炎、上気道から下気道にいたる急性炎症気道疾患をかぜ症候群といいます。健常成人は1年間に平均6回程度、かぜ症候群に羅患するといわれています。競技者の中では特に持久性競技者で上気道炎が多く発生することが知られていますね。

症状としては、上気道炎は、くしゃみ・鼻汁・鼻閉・咽頭痛・頭痛などがあります。一方、下気道炎の症状の中心は咳で、初期は乾き気味のの咳を発症して後から痰を伴う湿生の咳になります。咳によって前胸部痛・頭痛・全身倦怠感なども少しずつ起こってくる可能性があります。多くの場合、1週間程度で症状は軽くなります。

急性気管支炎はかぜ症候群に併発する下気道炎で、ウイルス感染が原因のことが多いです。特に二次的に細菌感染を伴うことが多いです。急性気管支炎の主症状は咳・痰・胸痛になる可能性が高いです。咳は夜間にひどくなり、疲労感や胸骨直下の胸痛を引き起こすこともあるでしょう。感染経路は口による接触、あるいは飛沫感染がほとんです。咳をしたときの飛沫は多くのウイルスや細菌を含んで1〜2メートルの範囲に飛び散ります。それを吸入すると感染するという流れです。間接的には鼻汁、唾液などに汚染された手やハンカチなどを通して感染します。二次性の細菌感染はウイルス感染による気道上表細胞障害が原因の一つになっています。

ではこれらの対応策はどのように取るのが良いと思いますか?

上位気道炎・かぜ症候群の原因は多種のウイルスでワクチンは実用化されていないのが現状です。常日頃の手洗い・うがいを徹底することは、感染予防においてかなり重要になっていきます。誰でもできる、一番大切な対策と言っていいでしょう。他者への感染を予防するために、今では当たり前となったマスクの着用や手咳をする際に手やハンカチで口をおさえるようにしましょう。適切な治療で、通常は1週間から10日程度で症状は軽減して完治する可能性を高めます。

ウイルス感染症は、特異的な治療法はありませんが、安静・禁煙指導を行い、諸症状の緩和目的で対症的治療および細菌感染に対する抗生物質療法を受けましょう!まれに心筋炎や胸膜炎を併発することがあるので、必ず医療機関を受診してください!!

※上気道炎後に激しいトレーニングを行うと、オーバートレーニング症候群になる可能性もあるので徐々にトレーニング量・強度を上げるようにしましょう。

異常を感じた場合は、ただちに運動を中止してください。

【2.オーバートレーニング症候群について
】

オーバートレーニング症候群に陥ることはまれではありません。例えば、競技者のコンディション不良もしくはオーバートレーニング症候群の頻度は男性で23.6%、女性で31.8%でした。(そのうちオーバートレーニング症候群は男性で2.7%、女性で3.5%)一般的に慢性疾患は徐々に進行していくため、自覚症状が出たときにはかなり病態が進行していることが多いです。

また、オーバートレーニングというと、アスリートなど激しいトレーニングを毎日やっている人に起こる症状と思われがちですが、実はそうではありません。一般の方でも十分起こりうる可能性があるので、注意が必要です。オーバートレーニング症候群は、実は定義がいまだに確立されていないんです。一般的には、運動やスポーツをすることで生じた疲労が、十分に回復の過程をとられることなく積み重ねられた結果として起こってきた慢性疲労の状態を言います。

いわゆる『やりすぎ』という状態ですね。症状には軽症から重症まであり、初期には原因不明の成績低下が出ることが多いです。トレーニングや競技のパフォーマンスが落ちてきます。さらに進行すると、疲労感や全身倦怠感、睡眠障害や食欲不信などを訴えるようになります。最悪の場合は、うつ状態や分裂病に似た精神異常を示すようになってしまいます。予防対策としては、トレーニングを含めた日常生活内での変化(起床時心拍数・運動トレーニングに対する心拍数反応・体重変動・食欲低下や疲労感、以前は楽にこなせていた運動がきついなどの自覚症状)を注意深く観察していくことがとても大切です。

現在の運動やトレーニング強度が過大で量が過剰になると以下のような症状が出てきます。

1. 運動後10分経っても心拍数が100拍/分以下にならない。
2. 運動後10分経っても息切れが持続している。
3. 運動後悪心があったり嘔吐をしてしまう。
4. 運動した当日の夜に寝つきが悪い。
5. 運動した翌日の目覚めが悪い。

他にも食欲低下や動悸、めまい・体重減少などこれらの症状が出てきたときにはオーバートレーニング症候群が原因になっている場合があります。身体の変化に気づけるように継続的に観察していきましょう!

パーソナルトレーニングで例えるならば、一番気をつけなくてはいけないのはお客様のモチベーションです。毎週続けて来てくれているから大丈夫!と思うのは危険でしょう。なんとなく元気がない、なんとなく集中力が足りない、なんとなくやる気が見られない。こういった『なんとなく』の情報を見過ごさないのが、オーバートレーニングを防ぐ第一歩でしょう。

【3.女性のスポーツ医学について
】

女性でも同じようにトレーニングする方が増えてきています。とても素晴らしいことだと思います。女性の身体についても、特徴を抑えておきましょう。女性でトレーニングしている方や競技者には次のような大きな特徴が出てきます。

・摂食障害
・月経異常
・骨粗鬆症

これらは継続的な激しいトレーニングにより発症します。それぞれの発症は関連していて対処が重要です。男女の生理学的・解剖学的・精神的な違いを考えて、メカニズムを理解しておく必要があります。性別による筋力トレーニングの効果には大きな差があります。その主な原因はホルモンです。男性ホルモンには蛋白同化作用があるので、この分泌量が少ない女性は、男性と同じトレーニングをしても同じように筋肉は肥大していきません。外部からの物質摂取は、競技者の場合はドーピングになりますし、すべての方に健康上の有害な作用をもたらすので必ず禁止にしてください。解剖学的な特徴としては、骨盤が広く、大腿部が内側に傾斜して膝との角度がついて不安定です。

また、肘角が男性より大きいです。筋量は女性は上腕の禁断面積・全面積に対する比率が男性より15%小さく、脂肪の面積が16%大きいといわれています。筋組成はあまり変わりません。これだけ聞いただけでも、細かい特徴がたくさんありますよね。次に女性の特有の損傷です。乳頭の擦り傷(ジョガーの乳頭)や、湿った下着を長く履いたり摩擦による刺激によって膣炎や膀胱炎になりやすいです。また、疲労骨折や膝障害など使いすぎによる損傷は多いです。デリケートな問題なので、知識はいれておいても、話すタイミングや話し方に注意しましょう。

ここからは女性に多いスポーツ障害を解説していきます。まずは月経不順です。月経周期は、視床下部ー下垂体ー卵巣系のホルモンにより、かなり綿密にコントロールされています。視床下部からの刺激で下垂体から卵巣刺激ホルモンが分泌されて卵巣に届きます。そこで卵胞が作られて分泌されたエストロゲンが子宮内膜を肥厚されて着想準備をします。エストロゲンの濃度がある高さまで上がるのを、視床下部が感知して卵黄形成ホルモンが分泌されて同時に排卵が起こるんです。排卵後の卵巣は黄体が作られてプロゲステロンというホルモンが分泌されます。黄体の寿命は、2週間でその間に受精ー着床が起こらないと子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こります。月経周期の分類では25〜38日が正常で、39〜89日は稀発月経、24日以内は頻発月経とされています。激しいトレーニングや精神ストレス、摂食障害などから90日以上月経が発来しない続発性無月経となることもあります。

将来の妊娠の可能性や疲労骨折を防ぐために、卵巣刺激ホルモン投与や性ホルモン補充などの治療も含めて、長期的に任せられる医師を見つけることも重要です。その上で一度も月経が発来しないようなら、原発性無月経を疑い、医療機関で原因を調べてもらうこともオススメします。特に女性には、激しすぎるトレーニングやオーバートレーニングに注意しましょう。その日の機嫌なども参考にすると良いです。

次に摂食障害です。いわゆる拒食症と巨食症がありますが、これらは一つの病態と考えられています。女性は男性の10倍にのぼります。拒食症は一般女性よりも競技者に多く、進行すると死に至ります。月経異常や貧血・疲労骨折とも関連していて食事や精神面のサポートが重要です。ダイエットをしたい女性にも起こることが多くあります。アドバイスの方法や伝え方には充分注意が必要です。

最後に妊娠中の運動についてです。妊娠初期は流産の可能性があるので安静にしておくべきです。安定中期は、水泳などのスポーツを中等度の強度で行うのは構いません。アメリカでは妊娠中・分娩後の運動に関するガイドラインを作っており、妊娠中は母体の心拍数が1分140を超えないように、あるいは激しい運動を1回に15分を超えないようにしてください。妊娠4ヶ月以後は仰向けの運動を避ける、息を堪えない、カロリーをよくとる、体温が38度を超えないようにするのを薦めています。妊娠中のトレーニングは、いわゆるマタニティトレーニングを言われています。水中運動をする場合は、マタニティスイミングとも言いますね。妊娠中に運動してもいいの??と疑問に思われる方も多いと思いますが、実は推奨されているんです。

理由は、

・出産時の体力づくり
・姿勢改善
・運動不足解消
・赤ちゃん本人の体力づくり
・出産後のお母さんの体型改善

などメリットは様々です。もちろん、トレーニングフォームや禁忌事項に気をつけなくてはいけませんが、正しい知識を知っておけば、とてもマタニティトレーニングはかなり大切なことだと言えます。

【最後に】

ここまで医学的な情報をみていきました。少し頭が疲れました!(笑)スポーツ医学というと、まだまだ難しい印象が強く、自分には関係ない分野と思いがちですが、これからはより深い知識と理解度が必要になってきます。冒頭でもお伝えしましたが、医学の分野の知識がつくことでトレーナーとしての信頼度が増します。難しい分野ですがぜひ取り組んでみてほしいです。まずは広く浅く。を目標に、少しずつ取り組んでみてください。専門書からではなく、誰かのブログや、ドクターのSNSからチェックしてみると良いでしょう。

▼ライター
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。

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