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パーソナルトレーナーが知っておくべき! 機能解剖学の基礎知識

寄稿

2021.09.29

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これまでは、 パーソナルトレーナーになるために準備しておくべきこと パーソナルトレーナーとして開業するために などトレーナーの仕事をする前のことや、なるために必要なことなど、考え方や準備することに対して話してきました。リピートしていただくためのお客様への接し方なども記事にしてきましたね。今回は座学系、トレーナーとして最低限必要な『知識』の話をしていきたいと思います。まずは機能解剖学です。 皆さんは機能解剖学についてどのようにお考えでしょうか?パーソナルトレーナーをされている方、これからパーソナルトレーナーを目指す方にとっても機能解剖学は避けて通れない分野です。基礎の部分をきちんと理解しているかどうかで、トレーナーとして提供できるものが大きく変わってくることは間違いありません。やはり『知っている』と『知らない』では、お客様に伝わる説得力が違いますし、何よりお客様の満足度にも大きく影響します。 私も日々現場での活動の中で、基礎の重要性を痛感しています。今回は、機能解剖学の基礎の中でもこの用語だけは覚えておこう!という重要な箇所をまとめました。プロになる以上、難しい漢字や意味が出てきますが、運動器の構造や機能についてになりますので、是非学んでほしいなと思います。

① 基本姿勢と運動の面

身体を評価するためには、姿勢と面について学んでおかなくてはいけません。まず、身体の姿勢を表す際に基準として用いられる肢位で、解剖学的な立位(立ち)姿勢があります。

この姿勢では、

1.顔は前方
2. 両手はおろす
3. 手掌は前方に向く
4. 足は平行に揃えて立つ
5. つま先は前方を向いている

基本的となる姿勢との大きな違いは前腕が回外(外に回旋)し、手掌が前方を向いていることです。 この姿勢が、解剖学的に判断するための姿勢です。

次の運動の面についてです。運動の基本面は、矢状面・前額面・水平面の3つに分けられます。

(矢状面)
人体を左右に分ける垂直面のことで、特に左右を均等に二分する面を正中矢状面または正中面といいます。右と左の横からみた状態です。
(前額面)
人体を前後に分ける面のことです。前と後ろからみた状態です。
(水平面)
人体を上下に分ける面のことをいいます。上と下からみた状態です。 

この3つの面は身体の姿勢を評価するときに必ず見なくてはいけない箇所になります。姿勢がどちらに傾いているのか、どのような癖がついているのかみるためには、前や横から確認する必要があります。

【見方の例】

(矢状面)横から見た面
・身体が前重心になっているか、後ろ重心になっているか
・骨盤が前傾しているか、後傾しているか
・腰が反っているか、背中が丸くなっているか
・頭の位置が前に出ているか
(前額面)前・後ろから見た面
・右重心になっているか、左重心になっているか
・骨盤が右に傾いているか、左に傾いているか
・肩が右に下がっているか、左に下がっているか
・頭が右に傾いているか、左に傾いているか
(水平面)上から見た面
・骨盤や背骨が、右にねじれているか、左にねじれているか
・頭が右向きか、左向きか

評価のときは、こういった対照的な見方が大切になってきます。パーソナルトレーナーにとって、評価は筋トレの種類を多く知っていることよりも重要になってくるので必ず学んでおくようにしましょう。


② 骨格筋繊維のタイプ分類

骨格筋とは、いわゆる筋肉のことです。お肉や衣類にも繊維があるように、筋肉にも必ず繊維が存在します(以下では筋繊維と記載します)。筋繊維というのは大きく分けて『遅筋繊維』と『速筋繊維』に分類されます。

(遅筋繊維の特徴)
筋肉の収縮速度が遅い
・発揮する力は小さい
・疲労しにくい
・力を長時間発揮できる
(速筋繊維の特徴)
筋肉の収縮速度が速い
・発揮する力が大きい
・持久力には向いていない
・短時間の瞬発的な力の発揮

2つの大きな違いは以上の通りです。かなり対照的な特徴ですよね。この筋肉によって、スポーツの得意・不得意も影響してくるんです。遅筋繊維を多く持つ人であれば、長時間のスポーツが得意と言えます。例をあげるとマラソンです。逆に速筋繊維を多く持つ人であれば、瞬発的な種目が良いでしょう。これは、短距離走や重量挙げ、一瞬で投げたり飛んだりする種目です。

この遅筋繊維と速筋繊維は、トレーニングや練習で変えることはほぼできないと言われています。確かに練習を繰り返せば、その種目がうまくなることもあるでしょう。しかし、筋肉の種類と言うのはほぼ遺伝で決まるものなので、完全に変えることは不可能と考えて良いと思います。ですので、自分が好きなスポーツが必ず自分の身体に向いているとは限りません。嫌いな種目ほど成績が良いと言うのもよくある話です。子供のスポーツ指導をしているトレーナーは、そういう面ではかなり難しい指導になると思います。

③ 筋収縮

筋肉はどのようにして力を発揮するのでしょう。これに関しては知っている方も多いと思いますが、筋肉は縮むことによって力を発揮します。これが筋収縮です。この筋収縮にも、それぞれ種類があります。

・筋収縮は関節運動が生じない等尺性収縮
・関節運動が伴う等張性収縮、等速性収縮

大きく上記のように分類されます。関節運動の観点から等尺性運動、等張性性運動、等速性運動とも表現されます。

(等張性収縮)
ダンベルトレーニングやマシントレーニングのように、一定の負荷で運動させ、一定の張力で筋収縮させること。
(等速性収縮)
関節の運動速度が一定のもの。

エクササイズにおいて、等尺性収縮は場所を選ばず負荷をかけることができます。等張性収縮は等尺性収縮と比較して、筋持久力の増大に対しては効果が期待でき、疲労の回復も早いです。等速性収縮は最大筋力を発揮し続けることができ、筋力強化に最も効果的です。さらに等張性収縮と等速性収縮は求心性収縮・遠心性収縮に細かく分類されます。求心性収縮は筋の長さを短縮させながら収縮させるもので遠心性収縮は筋の長さを延ばしながら収縮させるものです。

そして、筋は形状によって紡錘状筋と羽状筋に分けられます。さらに細かく分けると、紡錘状筋・羽状筋・二頭筋・半羽状筋・多腹筋・鋸筋などに分けられます。紡錘状筋は紡錘形の形状に沿って筋繊維が長軸方向に走行しています。羽状筋は筋内で筋繊維が斜め方向に走行して中央を縦走する腱に付着していています。

勉強するたびに毎回思うのが、漢字がめちゃくちゃ多いですよね。(笑)漢字の勉強にもなりそうですし、かなり専門用語も多いです。しかし、漢字も含めてこういった項目を覚えておくことはとても大事です。是非諦めずに、自分なりに工夫して学んでいきましょう。

④ 関節の構造と機能

関節は、骨の構造と共に機能も覚えておく必要があります。関節というのは骨と骨を連結し、荷重支持と運動機能の2つの重要な役割を担っています。関節は関節軟骨と関節包で囲まれていて、関節腔内は少量の関節液という液で満たされています。また、関節にも種類があり、関節癒合と可動関節に分けられます。

(関節癒合)
関節癒合は可動域がごくわずかな関節であり、関節腔を持たない。

(可動関節)
さらに繊維性関節・軟骨性関節・滑膜関節に分けられる。

(繊維性関節)
縫合・靭帯結合・釘植などがあり、縫合は頭蓋骨間に、靭帯結合は橈尺骨の尺骨間と脛骨腓骨間に見られます。 
(軟骨性関節)
軟骨結合・繊維軟骨結合などがあり、椎間板を介する椎間関節や恥骨結合などにあります。
(滑膜関節)
可動域が大きく、その動きの程度や種類により細分化されています。

滑膜関節の中で平面関節は肩鎖関節・手根間関節・足根間関節などの関節を意味し、関節包と靭帯で厚く覆われ、荷重伝達を主とした極めて動きの少ない関節になっています。蝶番関節は屈曲伸展の1軸性の動きで、肘関節・足関節・指関節などがそれにあたります。顆状関節や鞍関節は屈曲伸展の他に内外転も行える2軸関節です。膝関節や手関節がそれにあたります。球関節はその形状と動きより3軸の動きを持つ球状関節で、例で言えば、股関節や肩関節がそうです。

このように、関節にも種類があり、そしてまた種類があり、、が続きます。関節については、それぞれの構造をおさえておくのがポイントです。

⑤ 骨格筋の神経支配

神経支配、これをしっかり勉強している人はかなり少ないですが、覚えておくと身体の評価や痛み、不調の改善のアプローチに強くなります。運動とは、姿勢を保持し身体各部の関節を連動させながら動きます。骨格筋の活動が不可欠で、骨格筋を制御する中枢神経と、中枢神経と骨格筋および腱を結んで情報伝達をする末梢神経系の働きによって可能になります。

骨格筋の運動制御では、一般的に大脳・小脳・脳幹・脊髄といった中枢神経系を構成する各部の統合的な働きが機能していきます。一方で、中枢神経系からの一方的な運動制御だけでなく、体性感覚などの末梢神経からの情報により、統合された運動調整を行なっています。これらの調節制御の伝達は、中枢神経系から骨格筋制御を行う運動神経、骨格筋の状況となる体性感覚を伝達する感覚神経により行われています。

(運動神経)
数本から数千の筋繊維を支配するα運動ニューロンと骨格筋の長さを感知する筋紡錘を構成する錘内筋繊維を支配するγ運動ニューロンからなっています。 
(感覚神経)
筋の長さや腱に加わる張力を感受する筋紡錘や腱器官からの感覚を伝達します。

人が身体を動かすためには、関節や筋肉よりも大前提として神経の働きが必要不可欠になります。筋肉と神経の関係をおさえておくと、身体への見方が変わりますよ。

⑥ 反射

反射とは、なんらかの刺激によって誘発される無意識化での運動応答です。反射運動が起こるためには特定の刺激が受容され、反射中枢による制御のもと骨格筋の収縮を導く経路が構成されます。この経路を一般的に反射弓と呼びます。反射中枢は、脊髄レベルで完結するものから上位中枢が関与するものまで存在し、上位中枢が関与することで複雑になり、規定の運動応答に変化をもたらすこともあります。反射運動はその運動発現の特性により様々な区分分けができますが、その中でも特に有名なものが伸張反射です。他にも屈筋反射や緊張性頚反射、緊張性迷路反射、立ち直り反射があります。

(伸張反射)
筋を急速に伸張することで、その筋に収縮が起こる反射運動です。膝蓋腱反射やアキレス腱反射が代表的なものです。熱いやかんに急に触れてしまった場合、思わず手を引っ込めますよね。これがいわゆる反射です。この反射は、運動神経に大きく関わっており、怪我の予防や回避に役立ちます。

⑦ 随意運動

自分の意志に従って身体の骨格筋を制御して発生する運動を随意運動といいます。運動が意識され運動発言が起こり、正確な調整制御により完遂するまでには様々な中枢神経系か関係しています。運動の動機に影響を与える大脳辺縁系、実際の運動を計画する大脳連合野や大脳運動野、運動の調整や運動プログラムの形成に関与する大脳基底核や小脳などが関与しています。

なかでも大脳皮質における一次運動野、運動前野、運動補足野の3つの領域は運動の企画、制御に直接関わっています。 一次運動野からは錐体路と呼ばれる出力繊維が出ており、この錐体路は錐体で左右交叉をして脊髄の運動ニューロンに到達して全身の運動制御に関わります。

【最後に】

今回は本当に大きな身体の機能や構造を説明していきました。上記でも述べましたが、かなり漢字が多く、見てるだけでも難しそうですよね。でも実際、これらの機能が運動中や日常生活で行われているんです。つまりは自然の反応ということです。この普通のことをいかに理解できているかが、パーソナルトレーナーには大切なんです。

身体を勉強するということは決して簡単ではありませんが、指導する立場になるのであれば、それなりの責任があります。確かに挫折しそうになる内容もあると思いますが、勉強したことをお客様に話したり、現場で活かせるようになれば、それがとてつもなく楽しくなってくるはずです。そうすればまた違う内容を勉強したくなります。ぜひ自分なりの勉強方法を見つけ、最初は広く浅く勉強していってください。

▼ライター
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。

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