フィットネスクラブもパーソナルジムも効率的に集客ができるか否かで、売上や利益が大きく左右されます。チラシ集客は、ネット広告全盛の近年でも、最も集客までの再現性が高く、 新規集客及びリピート率アップにつながる広告手段です。今回は効果的な集客事例も含めて、具体的なチラシ集客方法をお伝えしていきます。
チラシ制作を業者任せにすると、広告費が赤字になる理由
私は、2007年に店舗を開業し、開業当初からチラシ集客を中心に戦略を立てていました。そして事業が安定したタイミングで、チラシから一時はタウン誌の広告に切り替え、その後も、集客の媒体としてタウン誌を利用していました。しかし、最近特に感じるのは、そのようなタウン誌の広告掲載の反応率がかなり下がってきていると感じています。 その理由は、スマホの普及です。
スマホを持っている人が急増。紙の媒体よりも写真や動画まで閲覧できる媒体として、ホームページやポータルサイトの広告を上手に活用している店舗が目立ってきました。 私の周りの店舗経営者の方でも、開業当初にタウン誌に広告掲載される方が多いと聞きます。タウン誌の営業マンが、新店舗オープンでアポ取りしてくるので、営業マンの言われたとおりに広告掲載しても、考えていたような新規集客が得られず、費用対効果が合わなかったと後悔される経営者の方が非常に多いと感じています。
同じように健康に対するサービスでも、価格の面で優位な保険利用ができる歯科医院や整骨院などは費用対効果の良い業種かもしれませんが、実費であるパーソナルトレーニングのサービスは、 紙の広告でも、戦略的に取り組まないと広告費が赤字になる可能性があります。チラシ集客にも言えることですが、チラシデザイン、チラシ印刷、ポスティングや新聞折込を業者任せにしてしまうことが危険です。
上質な空間を売りにしているパーソナルトレーニングジムのチラシは、一般の店舗よりもデザイン性が求められると思います。お金をかけようと思えば、撮影からカメラマンを使ったり、モデルを依頼したり、チラシデザインもデザイナーに頼んだりと、いくらでもお金をかけるところがあります。資金が潤沢にあれば、広告費にお金をかけることができます。
しかし、逆に資金に限りがある企業にとっては、最初にチラシ制作やポスティング外注に数十万かけてしまって、お金をドブに捨ててしまったと言う失敗談を聞くことも多いです。以前の記事にも書きましたが、数年前に小規模事業者持続化補助金で、集中投下するように費用をかけてチラシ広告を試したことがありました。
ネット全盛の現在でも、戦略的に行えば、チラシ広告はネット広告以上に有効な媒体だということも、改めて感じました。実は、簡単な流れを学べば、チラシを自分で制作し、すぐにクライアントを獲得し、売上として回収してしまうことも可能なのです。
新規集客数が変わるチラシの作りのコツ
チラシに限らず、広告というのはテストが必要です。フランチャイズの店舗が強いのはこのノウハウを共有され、市場調査を元に、反応率が高いチラシテンプレートがモデルとしてある為、ロイヤリティーを払う代わりに新聞折込チラシなど多額の広告費をかけても、安定した売上げを上げています。
このようにフランチャイズの店舗は、何度も、チラシデザインや、キャンペーンを変えることで、黒字になるチラシデザインのテンプレートが完成しています。では、フランチャイズ店舗でない店舗やパーソナルトレーナーはどうか?あなたの周りの店舗で個人のところを見るとやはりフランチャイズの店舗に比べて、チラシデザインなどを見ると作り込みが甘いケースが多いのではないでしょうか?
これは、コスト面やマーケティングの知見を持つ人材が会社にいるかどうかで変わってくると思います。また、個人店舗やフリーランスのパーソナルトレーナーも、大手の店舗にないようなパーソナリティーを出して、成果を出しているケースも増えてきています。多くの新規参入者は、どのようなデザインがいいのか?価格はどうするか?この2点だけで考えても、広告を打つまでは不安があると思います。私自身の経験で言うと、チラシデザインで反応率が全く変わってきます。
幸い私は、店舗開業する際に神奈川県のチャレンジショップと言う制度で採択されて始めた事業でしたので 、無料でチラシデザインをデザイナーに依頼することができました。神奈川県の中小企業支援センターには、県内の起業家が相談できるデザイン室があり、デザイナーの方が臨時でいらして無料相談が可能です。現在は、当時の私のようにチラシデザインを全て作成まではして頂けませんが、無料相談は可能です。
私は、この制度を利用し続けて、チラシデザインを、何度もブラッシュアップすることができました。デザイナーの先生に指導されたのは「情報を入れ込みすぎると反応率が下がる」「写真や文字のフォントにもこだわり、信頼感があるデザインにするべき」といったことでした。
また、店舗のロゴ一つとっても、いくつもの案を出してもらいながら、会社のコンセプトをしっかり表現できるような物を最初に作っておくとブランド化しやすいと感じました。このように、デザインも単にお金をかけるだけではなく、専門家のアドバイスを受けられる制度もあります。初心者の方でも、ネットで「パーソナルトレーニング チラシ」などと検索するとパーソナルトレーニングのチラシデザインの画像を多数見ることもできます。これからチラシ制作を検討されている方は、同業他社のチラシをよく参考にされると、反応率の高いチラシ制作が出来ると思います。
チラシは自分でも簡単にデザイン作成できる!
最近では、チラシ作成も、クラウドワークスやランサーズというクラウドソーシングのサービスで、個人のクリエイターに有料でも安価な価格で外注することができます。しかし、前述のとおり、チラシは制作した後にも、反応率を見ながら、写真、コピー、キャンペーン期限を変えられるように最低限の修正ができた方がいいと思います。その為、私が実施しているパソコンで簡単にチラシデザインを作る方法を紹介します。私はフィットネスクラブと店舗でのチラシ集客と、2つの作成方法を行ってきました。
どのような環境で、チラシ集客をするかでチラシの作成方法も全く違います。例えばフィットネスクラブでのチラシは、セミナー集客チラシや、店頭・店内に設置されるPOP広告です。この場合は、WordやPowerPoint、Googleスライドなどのソフトや、スマホのアプリで簡易的に作成し、印刷も自分で行います。それでも、フィットネスクラブという施設での安心感から、一定数のお問い合わせがあります。
もう一つは店舗のチラシ集客ですが、こちらの場合は自分のプリンターでプリントするような工程では集客が難しいと思います。またフィットネスクラブのように健康意識が高い人が集まっているところではなく、店外のポスティングや新聞折込チラシになるので、健康意識の高い対象者を特定した配布ではありません。この店舗チラシ集客の場合は、しっかりデザインしたものを大ロット注文する必要があります。
私自身は、ラクスルという会社のホームページからチラシを作成し、チラシを注文できる印刷通販サイトを利用しています。このラクスルのホームページは、オンラインデザインとしてWEBブラウザから利用できる無料のデザイン制作ページがあります。無料デザインテンプレートには、プロのデザイナーが作成したデザインテンプレートがあり、この数十パターンから選んで文章や写真を入れ替えるだけで、簡単にキレイなデザインのチラシ印刷データを作成することができます。
このような無料デザインテンプレートには、写真やイラストも無料で使えるので、利用価値はかなり高いです。もちろん自分の写真も取り込み可能ですが、高品質写真やイラスト素材も品質が高いものは本来は有料のケースも多いのですが、サイト内ではラクスルで印刷注文することを条件に高品質の画像素材を無料で利用できます。
スキルとしては、Wordが使用できる程度のスキルがあれば、直感的に使いこなせると思います。このオンラインデザインサービスのメリットは、ちょっとした修正の再注文が簡単にできることです。一度集客できるチラシができれば、複数回、キャンペーンを変えるだけで、チラシデザインが作成・発注できるので利便性が高いと感じています。他のチラシ印刷会社でも、同じようなデザイン作成ページがのあるサイトがあります。最近では、パソコンで簡単に反応が高いチラシデザインが作成できるので、外注せずに自分で作りながら、トライ・アンド・エラーでチラシデザインを作ることをお勧めします。
チラシ集客のポイントは、ターゲットからペルソナを設定する
集客全般に必要なターゲットとペルソナの設定について説明します。これがしっかり決まっていないと、チラシ集客は上手く行かない可能性が高いと思います。それでは、具体的な例を挙げて説明していきます。パーソナルトレーニングサービスにおいてターゲットというのは、見込み客になる方の年齢層や性別など集客したい層です。
ペルソナというのは例えば「結婚式前でなんとかダイエットをしたいという強い欲求を持っている30代の女性」といったかなり詳細のイメージまで行うことです。このようなペルソナを考え出し、具体的な人物像をイメージすることで、価格の設定やチラシの写真、キャッチコピーまで作り込むことができます。
多くのパーソナルトレーナーの方が、ターゲットを絞ると集客ができなくなるのではないか?と不安に感じてしまい、ダイエット、筋力アップ、アスリートまで幅広い対応するような文章を入れてしまいがちです。チラシの場合は、特に一瞬で興味関心を引くようなインパクトを出すには、具体的なターゲット設定が細やかであるほど反応率が高いということも言われています。
私の集客で上手くいったケースで言うと猫背改善の訴求効果を狙ったチラシです。猫背の人は、猫背の悩みとして見た目や、それに伴う肩こり腰痛などの悩みに直結します。それが肥満まで影響しているのではないか?といった顕在化した悩みのある方に訴求力があるチラシで多くのご予約につながっています。また、パーソナルトレーナーの個々の実際のサービス内容や、実績も考慮して、このターゲットからペルソナ設定をしっかり行うことで、パーソナルトレーナーが求めている見込み客から、価格だけなく、本当に来てもらいたいターゲット層からのご予約やお問い合わせをしてくれる確率が高まります。
このターゲットのリサーチには、 SNSやYahooの知恵袋で検索してみると、パーソナルトレーニングを受けたい方の需要がわかり、アイディアがどんどん膨らんでくると思います。それだけリサーチというのは重要になってきます。またここでも同業他社のホームページを見たりすることで、リサーチする力はついてきます。 実際に求められている価格帯や、見込み客に響くキーワードを知ることで、チラシの作り込みが変わってきます。チラシ広告を始めて、反応見て作り変えていくことも大切ですが、最初から明確にターゲット設定を力を入れて行った方が、集客につながるチラシができることは明らかです。
チラシの配布の仕方で、反応率が変わった事例の紹介
実際にチラシ配布の工夫で、大きく反応率が変わった2つの事例をご紹介します。以前、私がポスティング業者にチラシを外注した際に反応率が低かった時期があります。1枚4円程度の業者が多い中で、1枚3円と少し安いポスティング業者を選びました。しかし、なかなか思ったように新規集客につながらず、試しに知り合いに頼み1枚2円でポスティングをしてもらいました。そうしたところ、1週間で新規集客・お問い合わせが一気に増えました。
ポスティング業者も、配布後に配布した住所のデータを送ってくれましたが、業者のポスティングの場合は距離が離れるほど反応率が低いということがわかりました。私が外注した業者は、希望エリアを選定できない理由で1枚あたりの単価は安かったのですが、反応がなければ意味がありません。1枚2円で頼んだ知り合いのポスティングは、エリアを店舗の徒歩圏内で、一週間ごとに複数回、配布してもらいました。1回目で興味関心を持った方が、2回、3回とチラシを目にすることで、実際のご予約までの行動が促されることが分かりました。
もう一つの方法は、 チラシの左上の目立つところに、クーポン券をホチキスで添付することです。これも手間はかかりますが、 目立つようになるので反応率は上がりました。同じチラシでも、少しの変化で反応率が変わってくるので、少しでもコンバージョンを上げられるように試す価値はあると思います。
チラシからオンライン予約への誘導で、予約まで自動化する
チラシからオンライン予約までを自動化できれば理想です。フィットネスクラブのパーソナルトレーナーの方で、契約上で、クライアントと直接メールやLINEで予約が受けれないトレーナーの方は難しいのですが、可能ならば、できるだけメールか LINEで予約をいただくとメリットがあります。
特に LINE に関しては、 LINE公式アカウントと言うビジネス用のアカウントが無料でも作れ、ビジネスのツールとしてあらゆる会社や店舗でその効果は実証されています。チラシに自社のLINE公式アカウントのQR コードやID を載せておくと、クライアントとパーソナルトレーナー間でLINE上で個別メッセージができます。また登録者にメッセージを一斉配信ができることが大きいと思います。LINE公式アカウントは、登録しているクライアントにパーソナルトレーナーの方から情報配信が自由にできるので、クーポンやセミナー案内がコストをかけず行うことが可能です。
実は、タウン誌の広告は、同じ紙の媒体でも情報の掲載が禁止されていることがあります。タウン誌の場合は、自社のLINE公式アカウントのQRコードなどが掲載に制限のあるケースが多いのです。私の場合は、チラシの自由度が高いところを利用して、更に細かいステップを組んでいます。LINEからお問い合わせを頂く前に、自動返信メッセージに自己紹介動画へ誘導するように設定してあります。チラシからご予約頂く方の多くが、LINEで友達追加され、事前に私の自己紹介動画を見て、ご予約されています。このように、オフラインからオンラインの集客につながり、さらには何度もLINE公式アカウントからメッセージ配信ができる為、クライアントにも定期的にお役立ち情報を配信し、喜ばれています。
リピートアップにつながる限定キャンペーンの利用方法
チラシ集客で、新規集客からリピート戦略に対して、期限を決めたキャンペーンを定期的に行うことで相乗効果を狙います。見込み客の多くの方が、期間限定キャンペーンの広告と、具体的な期限がない広告では、反応率が明確に分かれます。分かりやすく考えると、最初に新規集客をするチラシには、一ヶ月程度の有効期限を入れるといいと思います。
そして、 マーケティングが進んでいる大手のエステ会社などがよく使っている方法ですが、2回目以降の方にも、期間限定の割引のオファーや回数券を販売しています。なぜ二段階の限定キャンペーンがあった方がいいのか?と言うと、紹介やネット検索から集客したクライアントに比べ、たまたまチラシを見てサービスを受けて頂いた方は、価格や限定性に惹かれているケースが多く、紹介などのクライアントより意識が高くないケースもあり、離脱率を守る為でもあります。
そのような方にも、複数回の利用しやすい価格で、再来店を促します。パーソナルトレーニングの効果を実感すれば、リピートして頂けるケースが増えると思います。再来店したくなるお得感があるような魅力的なオファーを用意しておくことで、チラシ集客からの顧客リピート戦略になると思います。
この2回目以降の方にお渡しするクーポン券も、自分で作成をお勧めします。冒頭に紹介したようなウェブサイトからのチラシ作成ができる方は、名刺サイズのクーポンの券や紹介カードのようなものも、同じカテゴリーのページから、すぐに作成ができます。 そこから、また紹介も発生しやすいような紹介割引カードを作成したりすることができます。
今回ご紹介したように、集客の打ち手を増やしていくことで、時代にあったオフライン及びオンラインの効果的な宣伝ができるようになります。これらのことを実践することで、よりパーソナルトレーナーの起業や経営を軌道に乗せるまでのスピードが早くなっていくと思います。
自分でチラシ作成ができる方は、より高品質のものを外注する際にも、専門業者と対等に商談できます。専門学校を卒業して資格取得をしても、集客のスキルがないと、売上が立たなかったり、運転資金が尽きると事業継続ができません。これから起業されるフリーランスのパーソナルトレーナーの方や、パーソナルジムの経営者の方に少しでも参考になれば幸いです。
根本大(Dai Nemoto)
生年月日:1971年7月20日
国際武道大学時代は少林寺拳法部として活動。大手警備会社社員として勤務。
2006年に脱サラ後1年で神奈川県川崎市向ヶ丘遊園・登戸駅に「ねもと整体&ストレッチスタジオ」を開業。パーソナルトレーナーとしても活動し、現在エニタイムフィットネス向ヶ丘遊園店と登戸店でもパーソナルトレーニング指導を行う。慢性的な腰痛肩こりなどの根本的な改善からアスリートパフォーマンス向上まで幅広く対応。 有限会社ディーエスシーエスとして法人化し、整体師やパーソナルトレーナーの現場で使えるテクニックのマンツーマン指導や開業支援コンサルティングとしても活動している。
▼資格
・関節ニュートラル整体普及協会 S Sランク
・健康運動指導士
・全米ストレングス&コンディショニング協会認定(NSCA)ストレングス&コンディショニング スペシャリスト(CSCS)
・NSCAパーソナルトレーナー(CPT)
・特定非営利活動法人 日本SAQ協会認定レベル2インストラクター