新型コロナウイルスによる影響がますます拡大しています。経済においても、特に飲食業を中心としてかなりの被害が出ていますが、フィットネス業界も他人事ではありません。 フィットネスクラブは『3密』が当てはまっているということもあり、お客様の退会・休会の問い合わせが殺到しているそうです。ではパーソナルトレーナーはどのような対処をする必要があるのでしょうか。今回は今できること5つまとめました。
⑴ 除菌の徹底
いち早く実施していることかもしれませんが、もう一度除菌・殺菌は徹底していきましょう。
もはや今となれば、除菌はやり過ぎるくらいの意識を持っておいたほうがいいかもしれませんが、量にも限りがありますよね、、。除菌シートやスプレーなどは売り切れ状態のお店も多数あると思います。ということは、うまく使わなくてはいけないということです。
パーソナルトレーニングジムでは、主に以下の箇所を重点的に除菌していきましょう。
- バーベル
- ダンベル
- ベンチ台
- ストレッチマット
- コンディショニング系ツール
● バーベルやダンベルは、直接手で持って使用するツールです。
セッション前とセッション後には必ず除菌するようにしましょう。特にバーベルは、広く(ワイド)持つ種目、狭く(ナロー)持つ種目と様々なので、全体的に除菌した方がいいですね。ダンベルは基本的に持つ箇所は一つなので、その部分を集中的に除菌です。ただ、可変式ダンベルやブロックダンベルなど、重さを変える時に触れる箇所もありますので、注意が必要です。
● ベンチ台は、使用用途がかなり多いツールになります。
皆さんも、ベンチ台を使ってのトレーニングは取り入れているのではないでしょうか。ベンチプレス、ブルガリアンスクワット、ディップスなど、使い方を少し工夫すれば使用頻度はかなり高くなります。また、トレーニング種目によって、接触する身体の部分は変わってきます。背中、脚、手など身体のほとんどの部位が触れるのがベンチ台の特徴だと思います。できれば、シートの部分だけでなく、足元の部分も除菌してあげると良いでしょう。
● ストレッチマットは、ベンチ台よりも全身が触れるツールです。
仰向け、うつ伏せ、横向き、ほぼ全ての肢位でのトレーニングができるため、念入りに除菌する必要があります。ストレッチがメニューにしっかり組まれている場合は、トレーニング後の除菌を忘れないようにしましょう。
● コンディショニングツール聞いて、何を思い浮かべますか?
ストレッチポール、バランスボール、フォームローラーなどが代表的でしょうか。こういったコンディショニング系のツールは、使用頻度というよりも、『使用時間』が長い特徴があります。トレーニングの最後に、ゆっくりと時間をかけて行なった後は、手入れもしっかり行ないましょう。
また、ドアノブやカウンセリングの際に使用する椅子、ロッカールームなど器具以外にも触れる箇所はいくつかありますので、一通りジム内を確認することをオススメします。
⑵ セッションの間隔をあける
パーソナルセッションの間隔は、どのくらい時間を取っていますか?例えば、13時〜14時でパーソナルトレーニングだったとします。次のお客様のパーソナル予約を14時15分〜15時15分で入れている場合は要注意です。少し間隔が短すぎですね。パーソナル後のアフターカウンセリングの時間や次のパーソナルの準備もあるので、しっかりと除菌をしたり換気をする時間がありません。
また、お客様同士が接触してしまうというリスクもあります。最低でも、30分は間隔をあけて予約をとると良いでしょう。ただ、お客様によってはアウターカウンセリングが長かったり、少し早めに来る方もいるでしょうから、できれば60分程度あけると良いかもしれません。
セッションの間隔をあけることで得られるメリットはありますが、同時にデメリットもあります。
・充分な除菌・換気の時間をつくれる。
・お客様同士の接触を避けられる。
お客様が帰られた後、もう一度その日のメニューを見直しましょう。そして、使用した器具やコンディショニングツールを思い出しながら除菌を行ないます。こうした一つ一つの確認作業ができ、リスクを少しでも減らすことができるのは、次のセッションまで時間に余裕があるからです。時間に余裕があれば、ロッカールームやトイレなど細かい部分の除菌作業も行なうことができます。
また、ジム内でお客様同士のすれ違いが起これば、我々トレーナーは気にならないかもしれませんが、お客様同士は『他人と接触した』、という感覚になるかもしれません。そういったリスクを下げるのも、仕事の一つです。
・その日にこなせる、パーソナルセッション数が減る可能性がある。
最も大きなデメリットとしては、セッション数が減ることです。例えば、午前10時〜午後20時まで、30分間隔で7セッション/日できていたとします。それを60分間隔にすることで、5セッション/日まで減ってしまう計算になります。2セッション仕事が減ることは、かなり大きな影響だと思います。
しかし今の世の中の状況ですと、多少のデメリットを無くすよりも、健康と信用を守る方が重要だと思います。
⑶ こまめな換気
除菌と同じく、いやそれ以上に大切なことかもしれないのが換気です。だんだんと暖かくなり、暖房器具を使用する頻度は減ってきているかもしれませんが、日によってはまだ寒くなる時がありますよね。つい暖房器具をつけたままにしてしまい、部屋を閉め切ったままにしてしまいがちですが、これは本当に要注意!部屋が乾燥したままになってしまい、菌が繁殖しやすい環境をつくってしまっています。よく乾燥すると喉が痛くなってきたりしませんか?実はあの現象も、口の中の水分が少なくなり、喉に菌が付着してしまうことが原因で起こることなんです。
換気をするといっても、ただ窓を開ければ良いというわけではありません。
- 一つの部屋で2箇所以上の窓、またはドアを開ける。
- 30分に一回は換気をする。
- 最低でも5分間は換気をする。
以上のポイントを意識してみましょう。まず2箇所以上を開けるというのは、『空気の循環』をつくるためです。ただ1箇所だけを開けただけでは、新しい空気が入るだけで、溜まった悪い空気が外に出ていきにくくなってしまいます。空気を入れ替えることが換気ですから、必ず2箇所以上は開けるようにしましょう。
30分に一回というと、パーソナルセッション中にも換気をするのか?という声が聞こえてきそうです。答えは"YES"です。
いくらパーソナルセッション中だとしても、60分間閉め切った環境というのは良くありません。トレーニングは呼吸も大切で息があがりやすいので、悪い空気のままではなく、途中で空気入れ替えを行ないましょう。
では、一度窓を開ければすぐに閉めても良いのでしょうか。答えは"NO"です。
当たり前ですが、ただ開けただけでは空気の循環は起こりません。少しの間、開けたままにしておく必要があります。最低でも5分間はあけたままにしておいて、その時間に除菌をしたり、お客様のメニューを組み立てるなどして過ごしましょう。
⑷ 活動自粛
実際この選択が究極なのですが、いっそのこと一定期間活動を自粛することも必要かと思います。いくら除菌や換気を徹底したとしても、やはり100%ではありません。リスクを最小限に減らしたとしても、お客様の中には不安な気持ちのまま来られる方もいると思います。思い切って活動を自粛することで、より信用を持ってもらえる可能性もあります。
例えば、
「あのトレーナーはいち早く活動自粛して、感染拡大のリスクを減らそうとしている。」
「仕事ができなくなるのに、お客様のことを考えて行動してくれている。」
などという印象を持ってもらいやすくなります。そうなれば、このコロナショックがある程度落ち着き、パーソナルトレーニングを待ってくれていたお客様や、早急な対応に共感した新規のお客様からの信用を得られやすいかもしれません。
ただ、確かにフリーのパーソナルトレーナーにとって活動できなくなることは本当に大きなダメージです。収益が大幅に減少することも覚悟しておかなくてはいけません。しかし、やはり自分の健康、そしてお客様の健康を守るのがパーソナルトレーナーの仕事です。目に見えないウイルスとの戦いになるので、何かあってからでは営業停止になるうえ、信用も失う可能性が高くなります。苦しい決断になりますが、ここは一番に優先すべきものを考えて行動することもプロのパーソナルトレーナーだと思います。
活動を自粛する場合、自粛期間中にもやれることはたくさんあります。
- お客様のメニューの見直し。
- 動画によるトレーニング動画の配信。
- 新しいビジネスの発案。
● お客様のメニューを一度見直してみてはいかがでしょうか。
なぜなら、これまでのお客様の頑張りを再確認できるからです。当たり前のようにお客様はパーソナルトレーニングに来ていただき、継続されているかもしれませんが、実際のところトレーニングを続けていることは本当にすごいことです。
トレーニングをする人は、100人。
トレーニングを続けられる人は、1人
こんな言葉があります。つまり、継続はとても大変なことなのです。お客様のこれまでの頑張りを評価し、さらに良いサービスが提供できるようにしていきましょう。
● 直接会えないのであれば、会わなくてもできるサービスを提供しましょう。
その中の一つは、動画配信です。自粛期間中にお客様が自宅でもトレーニングできるよう、宿題メニューを撮影して、送るということもできます。また、現代はYouTubeの時代を言っても過言ではないほど、動画による配信が主流になっていきています。この機会にユーチューバーデビューしても良いかもしれませんね。
● 新型コロナの影響で、リモートワークで仕事を行なえるようになり、そして今後も普及されていくことでしょう。
そうなれば、働き方を少しずつ変えていく必要があると思います。これまで仕事とは、実際に会わないとできないものだという考えがありました。しかし今回の件で、会わなくても仕事をしないといけない、もしくは、会わなくても仕事ができるという考えに変わりました。フィットネス業界も例外ではなく、これからはパーソナルトレーナーやインストラクターも、直接会わなくてもレッスンができる環境を整える必要があるのかもしれません。アイデアを出して、これまでに無い新しいサービスを考える時間に投資しましょう。
⑸ オンライントレーニングの実施
今やたくさんの運動指導者が導入している『オンライントレーニング』。みなさんはすでに開始しているでしょうか。オンライントレーニングの魅力としては、自宅にいながらできることです。
移動時間も短縮できるだけでなく、実際に会うパーソナルトレーニングと比べて多少サービスが劣るところがあるため、金額も安いという特徴もあります。また、複数の人がそれぞれ違う場所にいても受けられるという点から、グループオンライントレーニングも人気のようです。やり方はそれぞれですが、主にビデオチャットアプリを使用して実施しているようです。
- LINE
- zoom
- スカイプ
などが代表的に使用されているツールです。「サービスが劣るんだったらやる必要はないんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、時代の波にのることも大切なことだと思います。「自分はオンラインサービスなんかやらないぞ!」と、自分が売りたいものだけに捉われるのではなく、今お客様は何を求めているのかをきちんと把握する必要があります。
『売りたい商品』だけで勝負するのではなく、ニーズがある『売れる商品』を作り出していきましょう。作ったら、その商品がいかに皆様の役に立つのかをひたすらアピールするのです。SNS、ブログなどの無料の広告で発信し続けると良いでしょう。
現在、業種に関係なくかなり厳しい状況に陥っていると思います。優先順位と、冷静な判断を元に行動していきましょう。守るべきものは健康です。一人一人の行動が、皆さん自身と周りの人を救うことを忘れずに、今できることを取り組んでいきましょう。
高月宏和(Hirokazu Takatsuki)
スポーツ系の専門学校を卒業後、J1リーグに所属する静岡の清水エスパルスに入社。
一般の方からプロ選手までのトレーニング指導を5年経験したのち、パーソナルトレーナーとして独立。
独立から7ヶ月後にパーソナルジム『BodyBrand』を設立。
主に一般の方の『美姿勢づくり』『ダイエット』をサポートするパーソナルジムとして定評があり、現在は5名のトレーナーと活動中。